とあるキャンプ好きと一般人の会話

2016-06-18

M-11859-Fire-Starter-sparking-fire

 

商売柄、焚き火をよくやるというと、アウトドアに縁のない人から決まって言われるのが
”じゃあ、木の棒を手で挟んでシュッシュッって、、あれで火を熾すんですか??”

いやいや~今時そんなことしませんけど。。と内心思いつつ、でもそれが普段、火熾しに馴染みのない方の一般的、象徴的なイメージなんだなと毎度、思わせられる。

 

一見、便利そうだったり、格好良い道具や技術と言うのは、アウトドアに限らず世の中に溢れている。
しかし、それらを有効に機能させるには、道具の本質や目的をきちんと把握しておく必要があるのだ。

アウトドアにおけるそんな一例が、最近流行りのファイアースターターだ。

これが何かと言えば、現代版火打ち石。ナイフで擦ると火花が飛び、火が起きるというもの。

多分、ベアグリルスあたりのビデオを見て、これは格好良い!と興奮した連中が飛びついたのがブームのきっかけなんだろう。

確かに、火花を散らして火をつける行為は一見派手でイケてるように見え、やってみたくなる。

 

だが、私はこのファイアースターターにはあまり価値を感じていない。
というのも、実用性に大きな問題があるからだ。

試しに動画を検索して見てもらうと解るが、このファイアースターター、2,3回シュバッとやっただけで、いとも簡単に枯れ葉などに着火できている。

しかし、実際にはそんな簡単に行くことは稀で、上手く着火するには前提条件があるのである。

このファイアースターターで火熾しをするのが、どのくらい大変で面倒か、貴方も一度やってみればわかると思う。

湿度が低く乾燥しており、よく乾いた火口が手に入った上で、大きな火花が出る、大型のファイアースターターを使えるといった条件が揃えば、着火は難しくはない。

けれどアウトドア環境で、常にそんな恵まれた状況はあり得ない。
湿度が高いことはしょっちゅうだし、火口となる樹皮や枯れ草を準備するにも手間と時間、技術がいる。

 

本来、野外での重要な装備である着火具は、複数を携帯するのが基本。
であるならば、悪条件下でも素早く確実に火力を得られるマッチやライターをメインの着火具として使うべきであり、手間のかかるファイアースターターは予備のアイテムというのが本筋だ。

イメージしてもらえればと思うが、雨や風の強い森の中、あるいは日暮れ間近や、とても寒くすぐに火が欲しい状況で、誰がこんな面倒で確実性の低い火熾しをしたいだろうか?
(敢えてこうした道具を使って遊んでみたいというならば、話は別だが)

このアイテムは本来、サバイバル用であり、その本質は繰り返し何度も使えて、濡れても大丈夫というところにある。
そしてその反面、火花を引火させる火口を必要とし、マッチやライターで確実に焚き火を起こせる技術を持つ人間でないと、使いこなせない。

しかし、ファイアースターターを販売する店側も、youtubeに投稿しているマニアも、そういった点については殆ど触れていない。

あたかも、この道具があれば簡単に何時でもどこでも、確実に焚火が出来ると思わせるような動画やコメントばかりが溢れている。

そもそも火口を自然から入手する方法を知らなければ、火口を使いきった時点でお終いだ。
仮に火口を家から持参するのだとしたら、初めからライターや着火剤を持ってくれば良いのでは?という本末転倒な話になってしまう。

誤解しないで貰いたいのだが、私はファイアースターターがだめな道具だと非難しているのではない。
この道具の使用条件やその特性を理解しないで使うこと、そしてそれらをミスリードするようなショップや動画の知ったかぶりが問題だと言いたいのである。

 

同じような話は、このファイアースターターに限らない。
軽い方が良いからと言われて買った、高価なチタンの鍋で米を焦がした話(チタンは湯沸かしには良いが、料理には向かない)や、蒸れないはずのゴアテックスのカッパでビショビショになった話(汗を素早く発散させるアンダーウェアと一緒に使わないとNG)など、そんなはずじゃなかったのに、、という失敗話は山ほどある。

要は、どんな目的の為に、どんな機能を持つ道具や技術が必要かをきちんと理解することだ。
その点を理解せずに、道具の見た目に惑わされたり、二流ショップの宣伝文句に乗せられて、手段(道具、技術)から入ってしまうと、端から見ると恰好だけのオタク、笑いものになってしまいかねない。

スマートにキャンプを過ごしたいならば、その点を理解しておくべきだ。
そうすれば、無駄な苦労をせず短時間で、確実に暖かい焚き火にあたって快適に過ごせるようになる。
 

 

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