女性ソロキャンパーの自己防衛

今、ネット上で女性ソロキャンパーの投稿動画が物議を醸している。

既にそのニュースや映像をご覧になった方も多いかと思われるが、簡単に説明すると、夜間、女性のキャンプサイトに男がやってきて話しかけられ、その後もLINE交換しようなどしつこく言い寄られたため、怖くなった女性が警察を呼ぼうとすると逆切れされたというもの。

駆けつけた警察官も、具体的な事件性が無かったため男性への注意のみで帰ってしまい、女性はその後一晩、眠れない夜を過ごすことになったという。

この事件、男性側に非があるのは間違いない。また、ソロに来てる人に声がけは止めよう、マナー、モラルを持ってキャンプを楽しもうなどの意見が多々見られるのも理解できる。

けれど、他の犯罪同様に圧倒的多数の一般人は良識ある方々だ。そして現実には少数の悪意ある人間により、事件は起きてしまう。

事が起きてしまった後にいくらソロキャンパーへの声がけ禁止は慎むべきだなどと言ったところで、当事者にとっては後の祭りでしかない。

こうしたマナーやモラルを啓蒙していくことは防犯とは別の領域の話で、常日頃から長い時間をかけて行われるべきもので、その上で実際の危険に遭ってしまった際の具体的な対処を準備しておくことが必要だ。

 

では実際にどうすれば、このような目に遭わずに済むのか?を考えてみた。
その方法としては、基本的に予防と対策の2段構えの構成になる。

 

1,予防
実際に声をかけられたりされる前に、相手の気を削いでしまう方法。

・場所選び

独りになりたい、ロケーションが良いからといって、極端に孤立するような場所は危険度が高い。なので、周辺のキャンパーと適度な距離を保ちつつも、大声を上げれば異変に気付いてもらえるような距離の場所を選ぶことだ。

また、今回の事件では、夜、トイレに行った際にも付け回されたとのことなので、

・水場やトイレの近くにテントサイトを設定する
・洗い物などは翌朝の明るい時間に済ませる
・夜間に必要となりそうな多少の水は、タンクなどに汲んでサイトに置いておく

など、不用意に相手に接近を許すようなチャンスを減らす工夫も必要と思う。

・侵入経路を限定する

周辺360度どこからでも容易に接近できるような、無防備なロケーションは好ましくない(周囲全部が芝生など)

出来れば、東西南北のうち2方向に、樹木などが生い茂って壁のようになっている場所や柵、川など容易に接近を許さない障害物があるような場所を探せればベストだろう。

また、接近してくる人物に遠距離からでも気付けるよう、音を立て易い立地だと尚良い。具体的には地面が砂利、あるいは小枝が落ちているような場所だ。


(このように全周に何も障害物がなく、容易に接近され易い立地は避けるべき)

 

・自分のエリアを設定する

これはどういう事かというと、”ここからは私のキャンプサイト(敷地)なので、入らないで下さいね”という雰囲気を、やんわり感じられるような仕切り方をしてしまうことだ。

上記で書いたような自然の障害物に加えて、車、コンテナやテーブルなどをテントサイトの周辺に置くなどして、それとなくエリア感を出すという手段になる。

そうした物品だけではどうしても仕切り切れないという場合は、お花見の場所取りのようにロープなどで囲ってしまうのもアリかもしれない。(但し、ソロにも拘らずあまり広範囲を占有すると、それはそれで迷惑になるので、ほどほど加減も大事)

・声かけ無用の看板を立てる

やみくもに周囲全部のキャンパーに対して、挨拶程度の話にも係わらず無視やそっけない態度を取るのも大人げないし、角が立つ。

ならば、“そっとしておいてください、ソロキャンプを楽しんでます“というような看板を立てて置くのもアリかと思う。ホテルのドアノブにかけておく、”Don’t Disturb”の札の発想だ。
(今回の事件を受けて、すぐにでもどこかのアウトドアメーカーが商品化しそうな気がする)

・カメラ付きセンサーライト

カメラ一体型の人感センサーライトを、キャンプサイトの入り口に向けて設置しておくのも有効な手段。夜、何者かが近づこうとした際に、センサーが反応して不意に光に照らされたら、戦意を喪失して引き下がってしまう可能性もある。

またカメラの重要な点はその抑止効果なので、昼間のうちにカメラの存在を示しておくことで、何かしたら記録されてしまうと思わせることだ。
尚、犯行の前に簡単に取り外されてしまわないよう、設置固定方法を頑丈にする、カギを付けるなどの工夫も必要だ。

 

リーベックス センサーライト付きカメラ 900-WB05-11

・女性専用キャンプ場を利用する

これは自由に、行ってみたいキャンプ場を制限することにも繋がってしまうので、あまりお勧めではないし、また女性専用のキャンプ場はまだ数が少ないので現実的でない部分も多いのだが、それでもやはり怖いという方には、こうしたキャンプ場を利用するのも選択肢の一つかとは思う。

具体的には、“キャンプ場 女性専用”などのキーワードで検索すれば幾つか出てくるので、そちらを参考にしてもらえればと思う。

今後、女性オンリーのキャンプ場や、一部に女性専用エリアを持ったキャンプ場も増えてくるだろう。

 

2,対策
1,の予防策を以てしても尚、明確な犯行の意思を持った人物は接近してくる。その際には逃げる、または実力行使しかない。

・車に逃げ込む

多くの方が車でキャンプ場に訪れているだろうし、また車両をテントサイトの脇に停められるキャンプ場も多い筈。

であれば、いざという時の緊急避難シェルターとして、車を利用することも計画に入れておいて良いかと思う。

その際は、スマホを必ず身に付けておき、車両の中から通報できるようにしておくこと。

今ならば運転席にドアロックボタンが備わっている車も多いと思うので、逃げ込んだらすかさず、全ての扉を施錠してしまうことだ。

駐車中も作動する方式の車両盗難防止用カメラを備えている車だと、車に近寄ってくる相手を撮影できる可能性もあるので、よりベターかも知れない。

・防犯アラーム

もうここまでくると、やることは痴漢対策と同レベルになってくるのだが、どうしても大声を上げることが出来ない女性も多いと思うので、防犯アラームを携帯しておくのも手段になる。

但し、この際も音が他人に聞こえないような場所でキャンプしていたら無意味なので、上記の予防対策と組み合わせて準備しておく必要がある。

・最後は助け合える人間関係の構築

どんなピンチの時でも同じだが、自分一人で防ぎきれない事態に陥った時、最終的に助けを求めるのは、ご近所の人だ。
その為にも、隣近所にはご挨拶程度はしておき、友好的な人間であることをPRしておこう。

 

尚、今回の事件を受けて催涙スプレーを持っておこうと考える方も結構いるようだが、これはNG。

なぜならばその効果的な使い方や使用上の注意点などを知らないと役に立たないばかりでなく、逆に自分にダメージをもたらす結果となってしまうからだ。

催涙スプレーは銃器などと同じく、危険な武器として扱われるべきもの。きちんとその特性(噴射方式、飛距離、催涙成分の種類や効き方他)の把握とトレーニングが必須だ。

 

何にせよ一番残念に思うのは、今回のようなつまらない事件のせいで、やはりソロや女性一人は怖いからキャンプに行くのはやめておこう、、という風に考えてしまう方が増えてしまうことだ。

野外で一人で行動する以上、危険は必ずある。だがそれに負けて悔しくはないか?つまらぬことで諦めて自分の可能性を奪われたくはない。その為にも備えて、乗り越えられる知恵と技とマインドが必要だ。

自由に、思い通りに行動できる自分であるために。

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