大人向けキャンプ・焚き火・アウトドア体験創造集団「週末冒険会」
コラム

ソロキャンプから学べること

“ソロキャンプには野外生活の要素が全て詰まっている”

あなたがもし、これからキャンプについて勉強を始めようとしているならば、どのようなスタイルのキャンプを目指しているとしても、まずは一人でキャンプが出来る知識や技術を学ぶことがお勧めだ。

自分の面倒を全てしっかり見ることが出来て初めて、他の人の面倒も見られる。逆に言えば、ソロが出来れば大人数のキャンプは難しくないが、その逆はハードルがいくつも出てくる。

そして、みんなで過ごしていては気付くことのできない事柄を、嫌でも経験できるからだ。

そもそも複数人でのキャンプとソロキャンプでは何が違う?と言えば、大まかには以下の点が違ってくる。

1、作業分担
2、装備の規模・種類
3、メンタル

まず作業については、ソロキャンプでもファミリーやグループでのキャンプでも必要なエッセンスはほぼ同じだ。

テントを建てる、火を熾して料理をする、暖を取る。またその為に適切な場所を選んだり、作業の優先順位を考え、日没までの時間を逆算してタイムスケジュールを段取るというようなことは、ソロも複数人でもあまり変わらない。

だが、特に自分一人で全てをこなすソロキャンプでは、これらをしっかり行える計画力や実行力が大事になってくる。

ミスをすれば結果は全て自分に返ってくることになる。

暗い中でみじめに寒さに震えたり、冷たい食事を食べる羽目になったりと、楽しいキャンプどころではなくなってしまうからだ。

逆に、ソロキャンプの一連の流れをきちんと押さえられている人は、大人数でのキャンプであっても、必要な事柄に対するカンを働かせることが出来る。

他のメンバーをリードしたり、時には黒子役に回りながら、必要な作業を先回りして行ったりということが出来て、スムーズに事が流れていく。これが、トラブルもなく楽しいキャンプを送ることに繋がっていく。
次の、装備の種類や規模についてはイメージしやすいだろう。

ソロキャンプでは最小限の道具でキャンプを行う知識が必要となる。何故ならば、公共交通機関を使い、リュック一つで出かけるスタイルでは、沢山の道具を積み込めるカースタイルでのキャンプとは違い、豊富な種類や大型の装備を運ぶことが不可能だからだ。

キャンプは車が無いと無理というイメージを刷り込まれている人は非常に多い。それは従来の日本のキャンプといえばオートキャンプという代名詞で語られるように、車ありきでのキャンプが主流なことによるものだろう。

けれど、テン泊(登山でテント泊すること)に代表されるように、自分の力で運べるだけの荷物でキャンプするスタイルは存在しているし、そもそも車が無ければ出かけられないキャンプなど、ただ不自由でつまらないだけだ。

また車があったとしても、多人数のキャンプだからと言って多くの装備を買い揃え、キャンプ地に運び込み、設置してまた片付けて、、といった作業は面倒の一言に尽きる。そして、それらには、道具の購入費用やメンテナンス、収納場所の確保といった問題も常に付きまとう。

だが、限られた装備でやりくりすることを身に付けていれば、多人数のキャンプであっても装備を少量化するのは難しくない。

ソロキャンプを実行する能力には、一つの装備を様々に応用する力や、有るものだけ、手に入るものだけで一晩の生活に必要な要素を賄う創造力が含まれるからだ。

例を挙げれば、タープが狭く雨が吹き込んでくるような時には、個人用のポンチョやグランドシートなどを利用して、臨時に追加のタープを手早く設営することが出来るだろう。

また、ソロキャンプでの料理焚き火のやり方をきちんと身に付けていれば、人数が増えたキャンプでも、大型のバーナーなどを必要とせずに、旨い野外料理をメンバーに振舞える。

加えて、ソロ用の道具を使いこなせれば、大人数用の道具であっても構造や扱い方はソロ用の大型版というだけのものが殆どなので、一人での延長線上でやってのけられるだろう。

勿論、人数分の寝袋や各自の食器といった最低限の装備は増やさなければならない。しかし、最初から車ありきのグループ・ファミリーキャンプを想定して準備や勉強を始めることと比較すると、後々に感じる自由度が段違いに高く、またキャンプがより身近で楽に感じられることになる。

 

そして最後に、恐らくソロキャンプを考えた際に内心、一番ハードルと感じられるのがメンタルについての筈だ。

何より、一人で野外で過ごすということに不安や恐怖、寂しさ心細さを意識せざるを得ない。独りで上手くキャンプ出来るかな、、もしクマや幽霊が出たらどうしよう、、、というヤツだ。

慣れてしまえばこれらの大部分は消えるものだが、そうなれば占めたもので、気持ちとしてはむしろ、一人の自由さや楽さ加減の方が上回ってくる。もしあるとすれば退屈、話し相手が欲しい、、くらいの感情だろうか。

無論、そうなれば仲間と一緒に過ごすキャンプで不安など感じる筈もない

それよりも、一人で野外で過ごす気持ちを知っていれば、キャンプビギナーの家族や友人たちの気持ちも良く解ってあげられる。

“初めてのテント泊は気持ちが高ぶっていて、なかなか寝付けなかっただろうから、朝は起こさずに寝かしておいてあげよう”

“夜に一人で暗がりのトイレに行くの怖かったな、、ランタンを点けっぱなしにしておこうか”

などというように、気を利かせてあげられる。


このことはさらにキャンプでの安全管理とスムーズさにまで関わってくる。気持ちの余裕は全体を俯瞰して眺める目線に繋がり、状況把握と細かい点へ注意を払えるようになるからだ。

ソロキャンプをやってみて気付くこと。そこには単に野営の技術に留まらない、日常生活でも仕事においても、生きていく為の重要なヒントが詰まっていると私は思っている。

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