大人向けキャンプ・焚き火・アウトドア体験創造集団「週末冒険会」
コラム

キャンプ用品を防災に役立てるには

もう間もなく、3月11日を迎える。
つい先日も、東日本大震災と殆ど同じエリアで最大震度6強の地震があったばかりだ。あの日から10周年を目の前に、またか、、、と思ったのは私だけではなかった筈だ。

ところで、キャンプ用品が災害時の避難グッズとしてとても役に立つというような話を、ここ10年でよく聞くようになった。

確かにアウトドアの道具は下手な防災用品よりも高機能であることは間違いない。電気や水道、自宅といった生活を成り立たせるインフラが崩壊した災害地域は、文明の入り込んでいない自然環境とイコールであり、そこで命を繋いでいく為にはほぼ同じ作業が求められる。

こうした場面で必要になるのは、雨風をしのいで体温を確保するシェルターやテントであり、あるいは暖を取る、食料を調理してエネルギーを得るという目的で火を焚く為の道具や技術で、そうした作業をより効率よく、楽に、あるいは簡単に実現できるように作られたのが、現代のキャンプ用品ということになる。

だが、本当にこうしたアウトドア装備を持ってさえいれば生き延びられるのだろうか?
私はそうは思わない。あくまで道具は道具で、活かすも殺すも使う人間次第だからだ。

ではアウトドア用品を災害時に有効活用するにはどうすればいいの?ということで、実際にどんな品々を準備するのか?という話は無数に出ている他のマニュアル本やWebサイトにお任せして、今回はキャンプ装備をイザという際にちゃんと役立てる幾つかのコツを考えてみる。

何を準備するか?をまず考えるのが第1歩

サバイバル時にはその目的、何から命を守らなければならないのか?を考え、その為に必要な行動を確実に、素早く実行できることが装備に求められる機能になる。

その為には、ただ何となくキャンプ道具を揃えてみるだけでは不十分。まずは起こりえる状況とその対応策を考えてみることから始めてみよう。頭を柔らかく、どんな小さな可能性でも数多く発想すること、会議の場などでよく使われる、“ブレインストーミング”という手法が上手いやり方だ。

実際に災害が今、生活しているこの場で起きたらどうなる??というシミュレーションをしてみて、その可能性を数多くリストアップし、次にそれらを、実際に起こる可能性が高そうな順に並べて優先順位を付けてみる。

想定1)夜中の大地震で停電し、自宅の玄関が空かなくなった。

想定2)接近中の台風により、近くの川が氾濫する可能性がある。

まず1)では灯りが必要になるので、ヘッドランプを準備しておくのはマストだし、余震による建物倒壊の可能性が高いなら、ドアを破るバールや斧なども準備する必要があるかもしれない。

2)では、低地に自宅がある場合は遠方にある高台の避難先迄、雨の降る中を膝まで水に浸かりながら歩く必要が出てくる。すると丈の長い長靴、もしくは足が濡れることは承知の上で、足元の確かさや歩き易さを優先してトレッキングブーツを用意するのが良いという判断も出てくるだろう。

こうした想定に基づいて、逃げる、留まるなどに必要な装備は何か?が具体的になったら、実際にアウトドアグッズを整えるという次のステップに進んでいくことになる。

リハーサルしてみる

次に、揃えた道具を実際に使ってみるというのも大事だ。しかも、なるべく本番の想定に近い状況でやってみる。すると頭で考えただけでは思いもよらなかった点が見えてくる。

・電池が期限切れでライトが点かなかった。。
・暖を取るのに焚き火をしようとしたが、都心ではそもそも薪になる木が見つからない。。
・給水タンクを用意したが、実際に水を入れてみたら重すぎて、マンションの高層階の自宅まで持って上がるのは無理。。

こうしたように、リハーサルすることで弱点が浮かんでくる。また、やってみたことで気付いたより良いアイデアも出てくるかもしれない。そうしたら今度は、それらを改善するような手段・装備で補強していくことで、より確かな防災準備が整えられる。

避難用品は2種類に分ける

避難グッズを考える際によく困るのが、あれこれ想定していくとそれに伴って必要な装備も膨れ上がっていくことだ。これはキャンプに出掛ける際に、“もしかしてこれが必要かも、、、”とつい考えてしまって、荷物が多くなるのととても良く似ている。

しかし、一刻も早く逃げる必要がある状況では、沢山の荷物を背負うことが非現実的なのは、誰でも理解できるだろう。まして、オートキャンプ用の道具は車で運ぶのが前提で大きかったり重いものも多いことを考えると、非常時にすぐそのまま使うのは難しい。

ではどうすれば良いか?その答えは、防災品を2つのステージに分けることだ。

1stステージ・・・自分の命をギリギリのレベルでも確保できる最低限の内容で、短期間(3日程度)を全く支援なしで生存できる装備。リュックなど自分の力で運べるのが条件。ソロキャンプの装備に近い内容。(例:ライト、シェルター、飲料水2~3L、エナジーバー、エマージェンシーシート等)

2ndステージ・・・救援物資などの支援も受けつつ、避難生活を継続できる装備。自宅などに保管しておき、1stステージが過ぎて状況が少し落ち着いたら避難先へ運び込む。(例:大型テント、レトルトなどの食料、調理用コンロと燃料など)

こうしておけば、取り敢えず最初に必要なものとそうでないものを明確にしておくことが出来て、しかも無理のない運搬が可能だ。

一人1キット、自分に合わせてカスタマイズを

避難パックは一人1つを準備しておくことも大事なポイントになる。何故ならば、個々人の状況に合わせた内容にカスタマイズしておく必要が出てくるからだ。

例えばアレルギーがある人はそれを考慮した自分専用の食料を、持病がある場合はその薬、また目が悪くて日常にコンタクトを使っている人は予備のメガネ、、といったように、自分の日常生活でカギとなる重要なアイテムをリストアップして、基本装備に加える。

こうして各自の専用パックを準備したら、決められた収納場所へ置いておく。そうすることで各自が仕事や学校などの外出先からバラバラに帰宅しても、それぞれのパックを持って予め決めておいた避難場所へ逃げることで、残ったパック(あるいは無くなっているパック)を他の家族が確認して、無事に逃げているか、まだ外出先から戻ってきていない等の状況把握が可能になる。

加えて、パックをなくしたりその中身を使い切った際にも、家族や仲間同士で分け与えてカバーすることにも役立つ。

避難キットの収納場所にも注意を!

こうして準備万端整えた避難用キャンプ用品だが、その収納場所にも一工夫が必要だ。災害持ち出し品を入れてある押入れや倉庫が被害にあって、取り出せない。。。という可能性も考えられるからである。

昔からよく言われるように、トイレなどの狭くて崩壊の危険性が少ない空間を選んだり、近隣に倒壊してくる建物が無ければ、駐車場の車の中も選択肢の一つだろう。
場合によってはホームセンターで売っている防水コンテナを庭などに置き、そこへ納めるのもアリかもしれない。

都心部のマンション生活などでは保管場所の選択肢も限られてくるが、この点も考慮しない訳にはいかない大事なポイントになってくる。

 

道具とスキルや知識、言い換えればハードとソフトをうまく組み合わせて使うことが重要で、目的達成の最短・確実な方法であることをお忘れなく!

■併せて読みたい関連記事■

キャンプ道具を防災用品に活かそう(上)


命を繋ぐ技・技術・思考を養う
⇩ 
⇩ 

関連記事