フィールドで身に着けておくべきもの

2019-02-19

野外に出かける準備を行っている時、誰しも悩むのが、道具の取捨選択だ。
あれもこれも持っていこうとすれば、あっという間に荷物は山のようになるし、かといって逆に道具を少なく絞ろうとすればするほど、もしもの時はどうしよう、、という不安が強くなる。

それでも、多くの荷物を積み込める車でのオートキャンプであれば、持って行った数々のアイテムに出番がなかったとしても、積み込みと片づけの手間が増えたというだけで、さほど問題ではない。

しかしこれが、積載量の限られる自転車やバイク、そして少しでも荷物は少なく軽くが好ましい徒歩でのバックパッキング旅となると、とても切実な問題だ。短い週末のせいぜい1泊か2泊のキャンプの中で、1回使うかどうか、、という装備のあれこれの為に、悪戯に肩に食い込むザックの重みを増やしたいとは、誰も思わないからだ。
 

“必ず使うなら絶対忘れるな。だが、使うかどうか迷うなら、置いていけ”

これは古くから言われている山の格言だ。

確かに、“もし必要になったらどうしよう、、”という心配を拭い去ることはかなり難しい。特に初心者のうちはどんな状況が待ち受けているか、そしてそのような場面ではどんな道具が必要になるのかが分からないだけに、出来れば自宅にある全てのものを持っていきたい心境になる。

しかし、これは経験を積むうちに解消されることなのだが、実際にはそうした状況に陥ることはあまりない。長期の極地遠征や世界1周でもするのであれば話は別だろうが、現実的な日本のアウトドア環境では、道具がなくて大ピンチに陥るということは、殆どないと言ってよい。

徒歩、自転車、バイク、カヤック、、そして低山や川、管理されたキャンプ場、砂浜、あるいは島、、自分なりの野外旅の方向性やスタイルが確立してくると、そこで必要なもの、そうでないものの切り分けが自然と出来てくる(そして不思議なことに、稀に起こるアクシデントの際に必要な、めったに使わないが、無いと困る装備も見えてくる)そしてそれは結果として、荷物の少量化へと繋がっていく。

装備が少なくて困るかも、、という不安。それを解決したいと思ったら、一度試してみれば良い。
いつも自分が出掛けるキャンプ環境に、自分なりに絞り込んだ装備だけで出かけてみるのが一番、手っ取り早く、リアルな解決策だろう。それでも不安ならば、通常通りの装備を持った友人と一緒に出掛けて、いざという時は借りられるようにしておけば、最悪、何とでもなる。

そこであなたがおそらく気づくのは、“無くても意外と何とかなったな“、”他のものでも結構、代用が効くね“、”無かったから見様見真似で作ってみたら、結構イケた“ なんて事実の筈だ。

 

また逆にこのことで、真に持っておくべき道具の類も見えてくるだろう。大げさでなく、シンプルな幾つかのアイテム達。そしてそれらは常時、体に身に着けて置くべきものだ。

例えばナイフ。普段私はあまり、シースナイフを身に着けていない。何故ならば、シースナイフの出番が意外と少ないからである。シースナイフのような頑強で大型の刃を必要とする作業、つまり木を叩き割る、枝を払う、などの作業が殆ど発生しないという現実がある為だ。

これは現状日本のキャンプ環境にも関係していることで、自然の樹木を加工してキャンプの道具として活かすという行為がほぼ不可能だからだ。

そして、薪を加工するために、シースナイフを使ったバトニングなどもしない。そもそもバトニングの目的は、火起こしの為に太い薪を着火しやすいよう小割にしたり、一時的に強い火力を得るために細い薪を作成する事だ。

しかし、そんな手間をかけずとも、実際にフィールドに出てみれば、着火の際に役立つ細かい枝は幾らでも転がっていることが殆どだ。同様に、太くて長い木を薪にするための鋸も、ほぼ使わずじまいである。長い薪ならば、わざわざ苦労して切断せずとも、中央から燃やして切断すれば良いだけだからだ(焚火台を使わなくてはならない環境だと、難しい場合もあるが)

それよりもリアルに役に立つのは、掌に包み込まれてしまうほどのフォールディングナイフである。刃を起こしてもせいぜい20センチちょっとで、ズボンのポケットにすんなり収まり、重さも負担にならない。

そして最も大事なことが、スムーズでスピーディーな使い勝手だ。必要な時には素早く抜けて、握った片手で瞬時に刃を出すことができ、逆に使い終わった後はまた片手のワンアクションで刃を畳んでしまうことが出来る。これをとても重要視している。

野営中の作業で一瞬、刃物が欲しい。大した物を切るわけではないのだけれど、今すぐ必要、、、というシーンは良くあることだ。そんな時、出し入れにくい鞘に収まっているナイフや、まして、使いそうになかったから、ザックの中に仕舞ったままだった、、などというナイフでは、役に立たないのである。

 

ナイフの他にも、常時身に着けているものとしては、着火具類(100円ライター及びマッチ)、また5m程度のロープがある。これらもいざ使いたいと思った時に、すぐ取り出したい道具達だからだ。

これらを必ずズボンやジャケットの決まった場所に収めておく。そうすれば重要なアイテムを無くす可能性が減るし、決まった場所になければ逆に、落としたり無くしたことにすぐ気づける。
そして夜が迫ってくる時間帯になれば、これらにヘッドランプが加わってくる。

人によっては、もっと多くのアイテムを身につけておきたいと考える人もいるだろう。しかしそこは動き易さや重量と使用頻度のバランスの問題でしかない。

私は固定されたキャンプ地の中でしか動き回らないのであれば、身に着けておく道具はこれらくらいで十分だと思っているし、残りの道具はザックに入れておき、使う必要が出た段階で取りに行けばよいと考えている。
(それでも、割と広い範囲で活動する場合には、もっと多種類の装備を収納できるベストを使うこともある)

 

身に纏ったこれらの装備と、テントやシェルター、寝袋といった極シンプルなキャンプ道具だけで、先ほど書いたように一夜を過ごしてみるのも面白いチャレンジとなるだろう。

そうして夜を乗り越えることができたら、後はどこまで道具を付け加えていくかはあなたの自由だ。減らすことは難しくても増やすのは簡単なのだから。

 

どこまで行っても、どれだけ道具があっても、心配する人は不安が尽きないし、また実際に何かが起こる可能性も、完全に消えることはない。

無いならばその場で必要なものを作り出せる想像力と技術、知恵。そして究極は誰か助けを求められる他人を呼べるコミュニケーション力があることこそ、道具の多さに勝る武器になるだろう。

 

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