大人向けキャンプ・焚き火・アウトドア体験創造集団「週末冒険会」
コラム

キャンプでの薪拾いのコツ~上手に現地調達する為には

バックパック一つで野外に出る際に、常に問題となるのは消耗品をいかに補充するか?という問題だ。水、食料、燃料、、、

その中でも最も嵩張り、持参することが事実上不可能なのが、燃料の薪だ。無論、ガスなどのバーナーしか使わないというスタイルであれば問題はないのだが、焚き火のないキャンプほど味気ないものは無いので、私個人的には薪は必須アイテムとなる。

しかしこの薪をどうやって調達するか?というのもなかなか深刻な話になる。何せ、キャンプ場で売られている薪の束は、安くても¥300~¥400はするし、その多くが近所の製材所から出る針葉樹の廃材を使った、スカスカの代物なことが多い(最近は広葉樹の薪も販売しているキャンプ場が徐々に増えつつあるが、まだ少数でしかも価格が高い)

この何が問題かというと、スギやヒノキの針葉樹は密度が低く、燃えやすい代わりに持続性に劣るので、長時間の焚き火を行うには不向きだ。

昼から派手にこのような薪を燃やしていたら、夜に体を暖めたい時や料理に必要なタイミングまで、一体、何束の薪が必要になるか、考えると恐ろしくなる。下手をすれば、1泊¥1,000程度の入場料のキャンプ場で、薪代が数千円必要という、アホらしい話になりかねないのだ。

ということで、運搬の面、価格、使い勝手などから考えても、薪は現地で拾うことが一番お勧めだ。この薪拾いについて、いかに効率よく、無駄の無い薪集めを行うかという点にフォーカスして、幾つかのポイントをご紹介する。

なるべく太い薪を集める

焚き火は、いきなり大きく燃え上がるものではない。燃えやすい材料に小さな火が着いて、その火に炙られた少し太い薪が燃え上がり、更にその火がもっと太い薪を燃焼させ始める、、という風にエスカレートしていくものだ。

そのために、細かく燃えやすい物から太い薪まで、燃料を集める際にはその種類と太さにより、概ね4つのレベルに分けて集めることにしている。

・火口  マッチやライターの火を最初に引火させる為の非常に燃えやすい素材(枯葉、新聞紙等)
・焚き付け 火を大きく燃やすための助燃剤。小枝などがこれに当たる。太さにより3種類程度に分類しておく。
・薪  焚き火を安定・持続させる為の燃料

焚き火を安定してもやしつづけるには、このなるべく太い薪に火を移すことが必須だ。

そうでないと、焚き付けのような細い薪や小枝などをずっとくべつづけなくてはならなくなる。これらはすぐ燃え尽きてしまうので、四六時中火の面倒を見続けなくてならなくなり、結果として他の作業を行うことができず、また眠っている間も燃え続けてくれている焚き火を作ることが出来ない。

そういう意味では、焚き付けは太い薪に火をつける為の着火剤の延長ともいえるもので、逆に言えばしっかり火が起きてからは、それほど必要ではなくなるものである。初めて薪拾いをすると、どうしても細い枝などを多く集めてしまいがちになるが、大事なのはなるべく太い薪で、多く集めたいのはこちらの方だということを忘れないようにしたい。

火口や焚き付けは2回分

とは言え、火おこしの際には火口や焚き付けが重要な役割を果たすのも事実。細くて燃えやすい燃料をある分量、まとめて燃やすことで短時間に、集中的に火力を上げ、その熱で次のレベルの薪に引火させるからだ。

この焚き付けが少ないとどうなるか?おそらくあなたも経験があると思うが、火口の炎が焚き付けに燃え移り、火起こしに成功したと思ったのもつかの間、5分後には火が消えてしまった、、ということになってしまう。

これは、焚き付けの量が足りないせいで十分な熱量を生み出すことが出来ず、結果としてより太い薪に火を移せなかったものだ。

特に、着火の際にしっかりと焚き付けを組んでおかないと、ちょろちょろ燃えては火が消えそうになって、慌ててまた少量の焚き付けを火にくべる、、という悪循環が発生し、結局は火が大きくならないまま、拾ってきた焚き付けを使い切ってしまうことになるのだ。

これを防ぐには、焚き付けや火口を、火おこしに必要な量の2回分、集めて置くことだ。そうすれば、火が小さくなりかけた際にも十分な分量の焚き付けを投入することが出来るし、万が一、鍋などをひっくり返して火を消してしまった際にも、手早く再着火させることが出来る。

もし、上手く1回で火が起こせたならば、それらの火口は湿らないようにビニール袋などに入れて保管しておけば、翌朝にまたサッと取り出して素早く火起こしが出来ることにつながる。

これを怠って不十分な量の焚き付けしか準備していないと、火起こしに失敗した後で再び薪拾いに行こうと思ったら既に森の中は真っ暗、ただでさえ良い薪を拾ってくるのにかなり苦労したのに、この暗さではとてもじゃないがまともな焚き付けを見つけるなんてムリ、、ということになってしまうのである。

薪集めに行く際には、ロープを持っていく

薪拾いをするとよくあるのが、手に握れるだけの僅かな量の薪を拾って、何度もキャンプサイトと森を行ったり来たりしている光景だ。この効率の悪さは、無駄な時間と労力を消費するだけなので、より賢いやり方でさっさと薪を集めてしまいたい。その際に便利なのが、ロープだ。

1.5m~2m程度のロープを1,2本持っているだけで、集めた細かい薪を束ねて運ぶことが出来る。やってみればわかるが、これは手に持って集めていた時に比べると、10倍近く効率が良い。
また、倒木などのような太い薪を見つけた際には、引きずって運ぶのにも利用できる。

不必要な薪割りはしない

キャンプ場でよく聞こえてくるのが、延々と斧や鉈をふるって薪割りをしている音だ。

その作業自体が楽しみという部分もあるのだろうが、遠くから眺めていると、そんなに細い薪が、それほどの量必要か??と首をかしげたくなるほど積まれているのを見かけることもある。

なぜ薪を割るのか?という原理に立ち返って考えればその理由は1つしかなく、細く細かくした薪は火が着きやすいから割るのである。逆に言えば、火がある程度大きくなり、燠が蓄えられてきたら、太い薪をのせて火を持続させる段階に移るので、細かい薪はもう必要ないのだ。これは上で書いた通りだ。

焚き火が安定した後でもやや細目の薪を例外的に必要とするのは、何らかのアクシデントで火を消してしまった、あるいは消しかけてしまった場合の投入用か、ある一瞬だけ大きな炎を上げたいときくらいである。

 

こうしたちょっとしたコツを幾つか覚えておくだけで、楽に手早く、楽しい焚き火が行えるようになる。
特に、寒い今の時期のようなキャンプでは、さっさと火を起こして、安定した火を持続させる事は切実な問題なので、この冬のキャンプに役立ててもらえれば嬉しい。

 


限られた装備と自分の技術で、自由に野営を行う。
その為の知恵とスキルと思考力を養うには、、
⇩ 
⇩ 
スマートキャンプラボ »

関連記事