プライベートキャンプ場の為の山林購入のコツPart2

自分だけの、自由な理想のキャンプ場を作る為に山や森を買うにはどうすればよいのか?今回はPart1に引き続き、山林探しのポイントを私の実体験をベースにご紹介したいと思う。

前回のコラム⇒プライベートキャンプ場の為の山林購入のコツPart1

求める理想の条件は?

Part1で書いたように、山林探しの際の方法としてはまずエリアありきなのか、それとも面積や価格といった条件ありきなのか?を決める必要がある。恐らくプライベートキャンプ場としての土地に求める条件としては、以下のようなものになるのではないだろうか。

・眺めや日当たり、周辺人家との距離
・面積
・アクセス環境
・水源があるかどうか
・土地の形状
・樹木の種類

私の場合は、既に移住した八ヶ岳という場所ありきだったので、そこで下記の条件を満たす場所を探した。

1、周りに誰も住んでおらず、焚き火や音楽がやり放題
2、広さは500坪以上
3、日当たりが良い、夕日が眺められる南西向きの土地
4、広葉樹の森
5、水が出る
6、出来るだけフラットな地形

まず何より欠かせなかったのが、周囲に誰もいない環境、自分達だけの森感を味わえる場所であることだった。出来れば周囲の半径500m以内に人家が無い立地が理想と考えていたが、実はこの条件も物件探しを難航させる要因にもなった。

面積については、何となくのイメージで当初、1,000坪くらいは欲しいと考えていたものの、現地近辺の山林の相場を調べていくにつれて、この面積ではほぼ予算オーバーになることが分かったので、懐事情を考えてこの面積に落ち着いた部分はある。

それに、こうした山の中の土地は、隣接する他人の土地も塀や境界線があるわけでもなく、地続きの森なので、あまり狭さを感じることも無い。そうなると借景でも感覚的には十分広々しているので、面積についてはそれほど気にならなくなってしまった。

また日当たりが良く、明るい雰囲気が得られる広葉樹の森というのが、私の理想のフィールドのイメージだった。これは杉やヒノキの針葉樹に囲まれ、急傾斜の山の中に存在する日本のキャンプ場の、荒れて鬱蒼とした木々に囲まれ、暗くてジメジメしている環境が(経験上)多かったことが理由でもある。

逆転の発想で探す

ということで条件を決めて探し始めたのだが、いっこうにこれ!という物件が見つからなかったのは前回書いた通りだ。市販されている物件では到底、私の望む土地がこの狭いエリアで見つかる可能性が低いという現実を思い知らされた頃、ふと思いついたのが、理想の土地をまず見つけて、それから売ってもらえるかどうかを考えるという、逆の手順だった。

幸い、住んでいる街の山裾には手つかずの森がかなり広がっていて、緩やかで夕日の当たる形状をしている事は承知済みだったので、ならばその森の中から条件に合うエリアをまず探し出してみることにしたのである。


実際の現地の衛星画像

ぶっちゃけた話、土地探しに行き詰っていたのでもうヤケクソ、実際に購入できるかどうかなど後の交渉事は何とかなるだろうというやけっぱちな気分も半分くらいはあったのだが、これが功を奏した。人間とことんやってみると結果が出るもののようである。

まず手始めにグーグルアースで候補地の森を上空写真からあれこ眺め、近くに家はないか?森の傾斜はきつくないか??夕方に陽が沈む方角はどうか???など、求める条件の中で、画像から概ね判断できる部分をジャッジして幾つかの候補地をピックアップした。

その次のステップでは実際に現地へ足を運び、自分の目と足での確認作業だ。やはり現場を虱潰しに歩き回ると見えてくるものもあって、思ったより傾斜がきつかったり、日当たりが悪いなど、NGとなる候補地がいくつか出てきたのである。

そうした作業を何回か繰り返しているうちに、ようやく第1候補が絞られた。となると、次がこの手法のヤマの一つ、実際に購入可能な土地かどうかの確認である。

土地には公図という、その面積や所有権を表した地図(ゼンリン住宅地図に似た描き方がされている)があり、これは数百円の手数料を払えば誰でも見ることが出来る。またそこに記載された固有の番号から所有者の氏名を調べられるので、持ち主に売却の交渉を直談判することに決めた。

尚、私の場合は町役場の財務課(土地の固定資産税の関係でこの部署が管轄している)がこの公図を持っていた。一般的にはそのエリアを担当する法務局が所有しているもののようだ

                

実際の公図

交渉の際に注意したこと

しかし直談判といっても実際には、地元の不動産業者に仲介をお願いした。これは売買契約の際に、法律の素人である自分が売主と直接取引して、何らかのトラブルが起きた際の保険という意味、またそれよりも重要だったのが、交渉に当たっての信用度の問題だった。

土地の所有者にしても、いきなりどこの誰かわからない移住者が土地を売ってくれと話を持ってくるより、地元に根付いている不動産屋がこうした話を持ち掛ける方が警戒もされないだろうし、交渉のハードルも下がると思えたからだ。

業者を間に挟むことで、契約の際に不動産業者への手数料が発生することはデメリットだったが、Part1でも書いたように、価格の安い山林の売買手数料などたかが知れているので、それよりもまず売ってもらえるかどうか、交渉のテーブルに乗ってもらえる方が何十倍も重要だった。

ということでハラハラしながら仲介役の不動産業者にお願いして待つこと、僅か4時間!!相手の方から一発OKが出たのである。それもこちらから提示したスタートの交渉金額で、である。

相場から考えて、話が纏まるとしても金額はお互い歩み寄りが必要だろうからと考えまずは低めの提示額で話をしてもらうように依頼しておいたのだが、すんなりと話が決まってしまった。。(後になって、もう少し安くても売ってもらえたかもとは思ったが、後の祭りである)

この売り主の方、戦後すぐにこの土地を相続したらしいのだが、その後70年近くもそのまま放置されているらしいということが不動産登記簿で調べた結果で判った。

だが、不動産業者からは、

相続してからこれだけ時間が経っていると、持ち主すでに亡くなっているかもしれないよ、そのお子さんに所有権が等分で分配されていたら、全員に交渉しなくてはならないけど、もしその方々が北海道や沖縄など遠方に住んでいたらどうしますか?売ってくれるか判らないのにそんな遠くまで行きますか??

とビビらされた。。。

結果的にはご存命だったのでその方一人に交渉することで快諾頂けたのだが、山林探しには場所や広さだけでなく、こうした点もポイントになることを考えておく方が賢明だ。

どこまでこだわるか?

こうしてやっと、理想の山林を手に入れることができたが、かなり運が良かった部分もあると実感している。不動産はご縁とは良く言われる言葉だが、今回の件で全くその通りだと痛感した。正直なところ、この最後の候補地が見つからなかったら、八ヶ岳南麓ではもう見つからないだろう、この土地から撤退もあり得るな、、というところまで考えていた。

実際に土地探しに入ってからほぼ半年で結果を出せたのだが、現地に居住して週の3~4日をこの作業に費やしてもこれだけの時間がかかったことの教訓が、Part1で書いた、条件が先か、場所が先かという話になる。

もっと予算があれば、あるいは条件をもう少し緩めればもっと早く見つかる土地もあったかもしれない。けれど、賃貸アパートを借りるのとは訳が違うのだから、時間と労力の限界まで理想を追いたかったのである。

なので、もしあなたが理想のキャンプ場を作ろうとして山を探すのであれば、条件次第ではあるが、基本的には時間がかかることを覚悟した方が良いだろう。特に都市部から通いで田舎の土地を探すのであれば、よほど幸運に恵まれるか、または大金持ちでもない限り、年単位での計画を考慮する必要がある。

その他の注意点

最後に、その他考慮した方が良いポイントとして考えられるのは以下のようなものになるだろう。
1、土砂崩れや水害の危険エリアに入っていないかどうか、ハザードマップの確認
2、自分の土地に道路が隣接していて、人の土地を踏まずにアクセスできるか
3、上下水はどうする?井戸?汲み取り式簡易トイレ??
4、もし電気を引き込みたいのであれば、既存の電柱はどこにあるか?(1㎞以内にあれば、無償で電力会社が追加で電柱を立てて引き込んでくれる)

またリアルな問題として、土地の購入費用以外にも何かと金がかかることも覚悟する必要がある。
土地の管理用として刈払い機(草刈りに使う機械)や、土地の樹木を切って薪にしたりするにはチェーンソーが必要になったりと、細々とした必要経費が結構かさむのだ。

因みに固定資産税は笑えるほど爆安!だった。山林は評価額が低いのでその課税率も当然安くなるとは聞かされていたのだが、約500坪の土地全体で、年間500円未満と聞かされた時には、一坪500円の聞き間違い?!と思ったほどだ。

ここに書き切れなかった詳細な話もまだあるのだが、もし本気で山を探そう!という気になった方にはいくらでもお話しさせてもらうので、メールなどで連絡をもらえればと思う。

そうして全国の色んな所に、仲間の所有するプライベートキャンプ場が存在して、そこをお互いに使いあうことが出来る、、そんな風になれたら最高だと思わないか?

 

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