大人向けキャンプ・焚き火・アウトドア体験創造集団「週末冒険会」
コラム

本当に役に立つ着火具とは

火起こしの醍醐味、最もワクワクし、そしてドキドキする瞬間といえば、着火のタイミングだろう。

自ら集めた薪を割り、折ってかまどの中に組み立てて、 その中心に据えた枯葉や新聞紙に火を点ける。 上手く燃え上がるだろうか、、消えてしまわないだろうか、、、 と、息を呑んで見つめてしまった経験は誰しもあるだろう。

しかし、マッチやライターの炎が火口(枯草や落葉、 新聞紙などの、一番初めに火種とする燃えやすい材料) を焦がすものの、 そこから先に燃え広がることなく消えてしまった、、 という経験も、これまた多くの方が体験済みだと思う。

最も燃えやすい紙や落ち葉にすら簡単に火が移ってくれないのは何故か?その答えは、 火口に含まれた水分が温度の上昇を妨げるからである。

モノが燃える為には、燃料(薪)、酸素、 そして温度の3つのバランスが必須だ。 そして焚き火の燃え始めには、これらのうちの温度が最も欠けている状況にある。その温度の上昇を妨げる原因である水分を排除することが、 着火にはとても大切になるのだ。

なので、乾いた良質な火口を大量に確保することが( 特に初心者のうちは) 着火を成功させる為に大変重要なポイントなのだが、 季節や環境によってはなかなかそう恵まれた状況に出会えないことも多い。

梅雨の時期、あるいは夏のゲリラ豪雨などで、 拾うことの出来る火口が湿っていたり、あるいは湿度が高いなど、 火起こしを邪魔する要因は幾つもある。 火口の代表格である新聞紙ですら、一見、簡単に燃え上がりそうに思えても、そこら辺に放置しておくと、焚き火の準備をしている間に湿気を吸って着火困難になることもあるほどだ。

因みに、 ブッシュクラフトの愛好家がよくやっているフェザースティック( 小枝をナイフで薄く削り、カール状にした火口)は、 収集可能な火口が濡れていて使えない雨の日などには有効な手段( 作るのが面倒ではあるけれど、、)だ。 枯れている木は雨で表面が濡れていたとしても、 削れば内部は乾燥している場合が多い。逆に言えば、 森の中でその辺に枯葉がたくさん落ちているならば、そんなものを手間をかけて作る必要はないのである。

 

ということで、着火の失敗を防ぐ大前提は火口が乾いていることではあるが、もう一つの方法がある。 それは、多少の湿り気を飛ばしてくれる熱量を火口に与えてやるということ だ。具体的にどういうことかといえば、 火点けに用いるマッチやライターの火を長く燃やし続けるというこ とになる。

燃えにくいものが燃える為には、一定の熱量を、 一定時間与え続けることが必要になる。 よくBBQで炭に火をつける為に、ガストーチで炙り続けたり、 数分以上燃え続けてくれる着火剤をBBQコンロの底に置いたりす るのは、そのような理屈だからだ。
ここまで読んで、何だそんなことか、 じゃあ着火剤を使えば事は足りるじゃないか、 と思ったあなたの考えは間違ってはいない。実際に私も、本当の非常用としてキャラメルほどの大きさの着火剤は携行している。

マッチ一本から焚き火を作ることの出来る技術は持っていることが大前提。しかし、火遊びが目的ではなく、野営の旅の中では、焚き火は生きる手段である。雨のそぼ降る寒い冬の夕暮れ、とっとと焚き火で体を温めたいようなスピード重視の場面では 、そうしたアイテムを使うことの方が理にかなっている。

だからといって、毎度毎度の焚き火に着火剤を使うのもナンセンス。乾いた火口があるならば、正しい手順を踏めばマッチやライターの一発で火は十分起きるし、着火剤を使った場合と比べても時間もかからない。また、市販の着火剤は火起こしに使うには、1個当たりの大きさが大きすぎて無駄なものも多い。

個人的な経験で言えば、着火具に求められる要素は、

1、火起こしのスピード
2、確実性
3、軽量化・携行性。

であると考えている。

火口は現地で入手するのが基本。 それ以外は出来るだけ軽くてコンパクトにして携行する。 そしてスピーディー、確実に火を起こせる道具。 これが最もリアルな使えるツールの条件だ。

キャンプをよりスムーズに、快適に、 そして荷物を出来るだけ少なく、軽くしようとすると、 着火具に限らず、 こうした選択基準が自ずと浮き上がってくるのだ。

そして、これらをバランスよく持ち合わせたのが、 今回紹介するこの2種類のアイテムになる。

 

1、ロウ浸しマッチ
普通のマッチにひと手間加えて、燃焼時間と火力を強化したもの。 着火剤の火力と燃焼時間、 そしてマッチの軽量コンパクトさのメリットを持ち合わせた、 焚き火着火用のアイデアグッズだ。 火を点けると3分くらいは大きめの炎を出して燃え続けるので、 多少湿った火口にも引火させるのに十分な火力を出してくれる。


作り方としては、、、

1)マッチの軸に紙を巻き付ける

2)溶かしたロウに浸す(マッチの頭にロウを浸けると、 火が着きにくくなるので注意!)

3)くっつかないようにバラして冷ます。 100均などで売っている小さな防水パックに入れて携帯すればベ スト。

尚、一箱分のマッチ全てをこのようにする必要はない。 数本のロウ浸しマッチと、 通常の防水マッチを同じ箱に入れて置けば、 天候に応じて無駄にすることなく使えることになる。

 

2、ダクトテープを巻いた100円ライター
ダクトテープ(布テープ)を十数センチ分、 100円ライターのボディに巻き付けただけのもの。 テープは丸めて火を点けると良い着火剤になる。その他にも、 マットやテント、レインウェアに空いた穴の修繕にも役に立つ。

基本、着火具は複数を携帯するのがセオリー。使い切る、落とす、 無くす、壊れる、濡れる、、山の奥で一人、そんな目に遭わない為にこうした小型軽量で確実なアイテムが役に立つことを覚えておいて 欲しい。

 

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