キャンプで使う刃物と言えば、あなたはどんなものを思い浮かべるだろうか?小さなアーミーナイフから、料理用の様々な包丁、鉈、斧、あるいはハサミ等まで、、アウトドア用品店に並んでいる刃物類だけを見ても、結構な種類が存在している。
今は、薪もキャンプ場できちんと切り揃えられたものが売られている時代。また、登山などの食事で用いられるフリーズドライ等の加工食品は、殆ど刃物要らずだ。けれど、本当に大自然の中で生活するには、幾つもの道具、刃物を使うことが必要。そして、より美味しい食事を作ったり、使いやすく快適な道具類を制作したりと、生活の質を上げるには、必然的にそれぞれの目的により特化した刃物を使うことになる。
両刃の特徴
ところで、刃物には両刃と片刃があることはご存知の通り。だが、その違いの理由は?と問われて、はっきり説明できる人はそう多くないだろう。
アウトドア用刃物ではその多くが両刃なのだが、その代表的なものの一つに斧(薪割り斧)がある。斧の目的は太い丸太を割ること。硬い木の断面にその刃を食い込ませ、強引に割って入り、裂く。両刃の断面を見てみればわかるが、左右対称の二等辺三角形で、その角度が大きい。この形状ゆえ、斧はその刃先を振り下ろされた際、刃が進む(食い込んでいく)方向を軸に、左右へ均等に力を分散してくれる。その為、斜めに刃が入って行くことがなく、結果として、綺麗に真っ二つに割れることになる。
一般的に両刃は片刃よりも切れ味には劣るが、刃が長持ちし、切れ味が持続するのが特徴。その為、鋭さをあまり必要とせず、そのかわりに長時間の作業を行いたい場合に適している。また、両刃はその構造上、片刃よりも刃の断面が厚みを持っているので、より丈夫。強い力を掛けても折れにくく、そのような点も、振り下ろしたり叩きつけたりして使う斧に適している。
纏めると、、、
両刃は物を分断するのに適していて、片刃よりも丈夫だが、切れ味は(片刃に)劣る。
ということになる。
焚き火、寝床、水、方角、、、野外で生きる力を学ぶ、
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片刃の特徴
代わって野外用刃物の片刃の代表格といえば、鉈だ。
両刃の鉈も存在するが、売られている多くの鉈は片刃になる。これは、その使用目的が元々は、木の枝を払ったり、皮を剥いたりというものであることに由来している。観察してみると、その刃は両刃に比べて薄く、断面を見ると刃の角度がより鋭利なのが見て取れる筈だ。その為、刃先が食い込み易く、そして浅い角度でも刃を入れて行き易いのが特徴。そのような理由から、主に削る、削ぎ落とすといった使い方に向いていることになる。
実際にやってみると理解できるが、両刃の刃物で木の表面を削ろうとすると、刃を起こしがちにしないと食い込んで行きにくい。結果、刃が急角度で木に入って行くので、薄く表面を削る、、という作業がしにくいのだ。
滑らかに、薄く、まっすぐに切る。そんな使い方が必要な場面で有効なのが、この片刃。因みに、細胞を綺麗に切ることで味が上がると言われているお刺身。その為の刺身包丁が薄く片刃なのは、このような理由からだ。そういうことを考えると、例えばダッジオーヴンで焼きあがったローストビーフを薄く、美味しくスライスしたりするのも、この片刃が向いているということになる。
という訳で、片場の特徴を纏めると、、、
切れ味が鋭く、削ったり薄くスライスしたりするのに適しているが、刃が弱いという弱点がある。
となる。
目的・用途による使い分けが肝心
両刃、片刃とも、どちらが優れているとか、良い悪いといったものではない。使う目的によって向き、不向きがあるということで、刃物はその目的により使い分けるのが正しい使い方だ。
では、特に少ない装備で山に入るブッシュクラフト的な野営なら、どちらが良いのか?といった疑問もあるだろう。そう聞かれたら、私の考えでは明らかに両刃の刃物をお勧めする。理由は、刃の丈夫さと、片刃では出来ない(やると刃が折れる危険がある)作業もこなすことができるからだ。
尚、こうした種類の野営だとしても、実用的なスタイルは、2~3種類の刃物(時には斧やのこぎりも含まれる)を持参することだ。調理や細かい作業の為の、小さく鋭い切れ味のナイフ(例えばオピネルのような)と、薪割りやフェザースティック作りの様な作業に使う為の、やや大型で丈夫なナイフの組み合わせというのが、合理的だし一般的ではある。
尚、1つで何でもこなせてしまう、サバイバル用途でデザインされた刃物がある。それらはその一本しか持てないという状況を想定して設計されたもの。丈夫で万能だけれど、切れ味や使い易さは及第点クラス、、という性格になることが、今回の話を読んでもらえると解るだろう。
あなたが刃物を選ぶ際、自分の目指す野営スタイルがどんなものかをイメージしながら、片刃か両刃かを選択してみて欲しい。
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