大人向けキャンプ・焚き火・アウトドア体験創造集団「週末冒険会」
コラム

三角テントが教えてくれたもの

最近、テントで寝る事が少ない。
どこにキャンプしに出かけても、タープの下や、簡単に張ったシェルターでばかり、寝起きしている。

理由は単に、テントを設営するのが面倒なのと、荷物を少なくしたいだけの理由だ。
が、吹き荒れる嵐や、運悪く蚊の大群にやられた夜には、まともにテントで眠るのが楽だな~と、自分のズボラさを呪っている。

そんな事が続いていた最近、とある企業での野外講習の際に、昔ながらのコットンテントに触れる機会があって、その良さを思い出した。

 

思い出せば、初めてキャンプした三十数年前は、テントと言えば三角屋根のコットン生地の物が主流の時代。

現在のようなナイロン生地のドームテントは、本格的な登山用にしか販売されておらず、価格も高価で、一般人のキャンパーが使うような代物ではなかった。

 

この三角テントがどんなものだったかというと、、、何せ重たい。
8人用などともなると、どでかいダッフルバッグか、サンドバッグのようなサイズで、重量も15~20kgくらいはあったのではないかと思う。

そして、生地に防水加工を施してはあるのだが、当然ながら使用するうちに劣化して、段々と水分を含みやすくなる。すると、当然ながらさらに重くなり、また乾きにくくなる。

その為、湿ったままほっぽらかしておいたりすると、次のキャンプで拡げてみたらカビが生えてた、、ということも何度もあった。

また、ドームテントのように自立するわけではないので、沢山のペグとガイラインを張ってやらねばならず、建てるのが非常に面倒、且つ技術が必要なシロモノだった。

現在でも使用されている、レクタングラー型のタープを使用した事がある方ならばイメージ出来ると思うが、ペグダウンが20箇所以上、必要なのである。

オマケに、テント本体とフライシートの間の地面に、雨水を流す為の側溝を掘るという作業まであって、手間の嵐のようなテントなのである。

 

しかし、様々なテントで寝起きし、経験を積んだ今になってみると、三角テントにも欠点だけでなく、良いところが沢山あったのに気付かされる。

まず一つ目は、居住性が良いこと。
テントの中央部が背の高さ程もあるので、出入りがしやすく、また立ったまま着替えたり、室内での移動がし易い。
フロアも長方形なので無駄なスペースが生まれず、一人ひとりに対する有効面積が効率よく確保できる。

そして、両方の入り口が大きく、それに伴いメッシュドアも大型のため、通気性が良いのも優れた点だ。

蒸し暑い日本の夏の夜、特に大人数で眠る際には、室内を吹き抜ける風が温度と湿度を下げてくれた。
更に、本体サイドの裾幕をロールアップすることも出来て、これも風通しや室内の乾燥に有効だった。

二つ目は、結露しにくく、断熱効果が高かったこと。
厚地のコットンは今時のテントのナイロン生地と違い、ある程度の通気性があり呼吸をする。
それに加えて、フライシートとテント本体のダブルウォール構成となっているので、結露が殆ど起こらない。

また、日差しが強い夏にも、このコットン生地に厚みがある為、日光の熱が通りにくく、室内にいてもアタマの上からの熱を感じることは無かったと記憶している。
現代のナイロンタープだと、その下に入っていても、夏場には太陽が暑いと感じられることがあるのとは対照的だ。

そして3つ目は、テントの張り方の基本を身につけられたこと。
やたらと本数のあるガイラインをペグで綺麗に止め、バランスを取ってきちんとテントを張る作業は、後にシェルターや大型タープを扱うようになった際に、非常に役立った。

間違った角度やいい加減な張り方をすれば、テントにシワが寄る。それはイコール、偏ったチカラがテントにかかっていることを意味し、強風時には崩壊の原因につながる。

また、沢山のガイラインを纏めて縛ったり、切れたり長さが足りなくなった、、という際に使うロープワークを習得できたりもした。

 

 

と、良いところを挙げてきた三角テントだが、トータルで見れば現代のテントの方が、使い勝手は遥かに良い。

重量はもとより、設営・撤収の簡便さ、持ち運びや収納の大きさなど、特に1泊2日の短期間で出かける日本のファミリーキャンプのシーンにおいては、特殊な使い方を除けば、三角テントに優位な点は殆どないだろう。

 

けれど、そんな理屈は抜きにして、このテントが好きだ。

ふれるとザラリとする、いかにもタフで雨嵐から守ってくれそうな、コットンの生地の感触。
強い風にも歪むこと無く、雨の日にはボツボツという心地よい雨音を奏でる。

帆船の帆布のような、美しくノスタルジックな三角屋根のシルエット。
夕暮れ時の焚き火の煙たなびくキャンプ場に、とても良く似合う。

古く、重く、やたらと手間のかかる厄介なロートル。
それでも、幼いころに育った我が家を想うように、懐かしく愛おしい。

たまにはコイツの屋根の下で、昔を思い出しながら眠るのも悪くない。

 

 

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