ファイアーリフレクターの効果とは?

これからの時期のキャンプの一大問題と言えば、何と言っても“寒さ”だろう。
特に雪中キャンプのような氷点下の野外で過ごすとなると、防寒着をたくさん着込んでも、完璧に寒さを防ぐことは困難だ。

となると、次の手としては焚き火で暖まろうという話になってくる。

けれども、火の暖かさというのはその火力や、自分と焚き火との距離、そもそもの外気温などに左右され、家の中でストーブに当たっているような快適さを得るのは、なかなか難しいものがある。

焚火の暖かさというのは、遠赤外線の電磁波だ。

これは以前のコラムでも何度も書いているが、焚火から暖房効果を得ようとすれば、この遠赤外線を出来るだけ有効に自分が受け取れるようにすることが何より重要になる。

その効果的な対策法として、広く知られているのが“ファイアーリフレクター”というものだ。

ブッシュクラフトスタイルのキャンプがお好みの方ならば、一度は目にしたことがあるかと思う。

このファイアーリフレクターとは、焚き火の後ろ側に、丸太などを壁上に積んでやることで遠赤外線を反射させて、焚き火の前に座った際の暖房効率を上げるものだ。

では、その効果はどのくらいあるのだろうか?実際に実験してみることにした。
これからの冬キャンプを計画している方や、特にソロキャンプを考えている方には興味の尽きないトピックかと思うので、参考として頂けたら幸いだ。

実験では、一般的な木のほかに、反射効果の見込めそうな素材をいくつか準備して、4種類のリフレクターを比較してみた。また、併せて何もない裸火の状態での測定も参考として行った。

・木積みのリフレクター
・アルミ泊
・レンジパネル(+アルミ箔)
・エマージェンシーブランケット(アルミ素材が内側に貼られた保温シート)

尚、条件として、実際に焚き火で温まろうとしているシチュエーションを再現した。
これは、焚き火がばんばか燃えているような状態ではなく、巡航運転(太い薪に火が付いて、ある程度熾火になっている)となった、寒い夜の状況で長時間、火に当たっているシーンを再現したものになる。

計測時間は5分間、測定距離はリフレクターから約1メートル、焚き火の中心から70センチ程度のところに温度計を設置。

また、機械的な温度計の計測値と併せて、実際に椅子に座った状態での体感も記載する。

<測定環境>外気温13℃ 時間13:30~14:50 風速:2~3m

 

1,丸太積リフレクター

焚き火の炎の温かさがじんわり感じられる。顔がやや熱く感じる程度で、快適さで言えば普通に過ごしていられる。だがこれはこの外気温(13℃)だからという点が大きいと思われ、もっと気温が下がってくる夕方から夜では、暖房としては不十分だろう。
スタート:19.5℃
フィニッシュ:22.0℃

2,アルミ箔
 
じわりと暖かい。が、リフレクターの効果が感じられるか?といえば微妙。
スタート:19.5℃
フィニッシュ:22.0℃

3,アルミ箔+レンジフード
 
温度計の値は他とほぼ同じような数値だが、顔に感じる熱が強くなった。
火からの遠赤外線が跳ね返ってくる効率が上がったことが原因だろうか。横長に拡がったことが関係しているのかもしれない。
スタート:20.0℃
フィニッシュ:22.0℃

 

5,ブランケット


直接火に当たっているすねの温かさが他よりもやや強く感じる他、スポット的だった熱の反射が、体を包み込むような、大きく柔らかな暖かさに変わった気がする。体で感じる割合的には2割アップといったところ。
スタート:19.0℃
フィニッシュ: 20.5℃

 

5,リフレクターなし

心なしかリフレクターありの時よりも温かさが弱く感じる。が、これは吹き付ける風やその風によって焚き火の火力が増減していることも関係しているように思われる。
スタート:22.0℃
フィニッシュ:23.0℃ (※風向きが逆になり、温度計に熱風が当たったことによるイレギュラー値)

結論

結果としてはリフレクターの効果にそこまでの違いは得られなかった。リフレクターはあったほうが良いが、劇的に違いを感じられる程ではない。

但し、温度計の数値上では殆ど差が無かったが、リフレクターの種類によっては、効果を体感できるものもあった。

だが、実用面で言うと、燃えている薪の組み方のほうが遥かに重要で、遠赤外線が自分に向けて放出される面をどれだけ確保できるかで、暖房効果は大きく変わる。

また、体に風が当たらないようにすることも暖かさを感じるのに大切だ。吹き付ける風によって奪われる体熱がリフレクターの反射効果を上回ってしまうと、トータルとして意味をなさなくなってしまう。

加えて、その大きさも暖かさに影響すると考えられ、一般的に知られているようなサイズよりもかなり大きな反射面積を持たせないと、実感値として暖かさを感じるには不十分なようだ。

逆に言えば、このようなちょっとした工夫を重ね合わせることで、ただ焚き火を行うよりも随分と暖かく過ごせる確率が上がることになる。

自分自身の知恵と工夫で、厳しい自然の中でも過ごせるという自信や喜び。
そうしたものを感じられるヒントとして使ってもらえたら嬉しく思う。

 

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