風に強く、煙も少なく、少ない燃料で調理の出来る焚き火。
こんな究極の方法があるのをご存知だろうか?
それが”ダコタファイアーホール”と呼ばれるもの。
北米のネイティヴアメリカンが使っていた焚き火技術だ。
暖まった空気が上昇することで、気圧が低くなる空間が生まれる”煙突効果”の原理を利用した、効率の良い燃焼法。
初めてこの方法を知った時、科学的な理論が打ち立てられる前から、先住民族が経験的にこんな効率の良い方法を用いていたことに驚いた。
このダコタファイアーホールの作り方は以下の通り。
1)掘りやすい土の地面を見つける。
岩や木の根、また湿った土や水が染み出してくるような場所は避ける。
2)スコップなどを使い、地面を直径30cm、深さ30cmに穴を掘る。
できれば、穴の底部の直径は40cm程度になるよう、穴上部よりもやや拡げる。
こうすることでより多くの炭を穴の底に蓄えることが出来、その結果、ホール内をより高温に保つことができる。
3)穴から30cm程離れた風上に、直径30cm程度の別の穴を掘る。
そして、隣の穴の方に掘り進むようにして、メインの穴へと繋げる。
ただこれだけ。
小型のショベルなどの道具があれば、15分もあれば簡単に作れる
この説明文を読んだ上で上の写真を見てもらえれば、直感的にどんな風に作ればよいか、概ね想像が付く筈だ。
穴中で集中させて薪を燃やすことで温度が高まり、発生するガスをも燃焼させ、効率よく熱を生み出せる仕組み。
また、その熱が発生させる気流が吸引効果を作り出し、吸気穴から新鮮な空気を吸い込んで、自動的に燃焼サイクルが高くなる。
その結果、普通に地面で焚き火を燃やすよりも、同じ燃料の量から得られる熱が多くなるという特徴を持っている。
ということは、、、
・余分に薪を購入する必要が無くなる。
・薪集めに浪費する時間と労力も少なくて済む。
というメリットがあるのだ。
しかしその反面、デメリットも無いわけではない。
例えば、直火禁止のキャンプ場が多い昨今の状況では、実行する事がなかなか難しいという問題がまず出てくる。
又、実用面から言うと、体を温めるのには向いていないという弱点がある。
穴の中で火を燃やすという構造なので、焚き火が出す熱をストレートに体で受け止めずらい為だ。
なので、どちらかと言えば調理により適した焚き火の方法と言える。
一般的なカマドよりも、はるかに効率的なこのダコタファイアーホール。
チャレンジする機会があったら是非、やってみて欲しい。
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