海に囲まれ、また山岳国でもあるために川も多い日本。
それは、生活に欠かすことのできない水が豊富に、自由に手に入り易いということに繋がっている。
これは野外生活においても、とてもありがたいことだ。
だが、水に恵まれている半面、それが危険に繋がることも多々、ある。
急傾斜の山が比較的多く、また水が生活に必要という面もあってか、日本のキャンプ場の多くがあるのは、川の近くや河原だ。
河川は国民みんなの場所、自由に使ってOKという法律があることも、河川敷でのキャンプやBBQを助長する一因かもしれない。
当然、そんな場所にキャンプに来れば、暑い時期はもちろん、そうでなくても水に漬かりたいという欲求が出てくるのは当然の話だろう。
水深もそんなに深くなくて、川幅もそれほど広くない渓流での水遊び。
激しい波やその広大さが本能的に怖さを感じさせる海と違い、誰もがそれほど危険を意識しない、しにくい場所だ。
しかし、実は川には川独特の危険があることを、あなたはどの程度、ご存じだろうか?
では一つ、質問。
川の水深がどの位までだったら、ロープなどの補助がなくても川を渡ってもOKとされているか?
答えは、水深が膝の高さを超えたらアウト。
ずいぶんと浅いんじゃないか、、?と思ったのではないだろうか?
流れの強さにもよるが、太もも以上の深さで水流を受けると、思った以上の抵抗があることに気付くだろう。
水の中が見えず、川底の様子も判らない場所。しかも靴はホールドの弱いビーチサンダル。
そんな状態でコケの生えた岩などの不安定な足場を踏んで進めば、バランスを崩しやすいのは簡単に想像がつく。
当然、水の抵抗を受ければ、ちょっと体制を崩しただけですぐに転倒、水没は免れない。
そして、流れの中にある岩の下部、水に沈んで見えない根本部分が水流でえぐられていることもある。
ここに人間の足が嵌まりこんで、水圧に押され、抜けなくなるという事例も存在する。
専門用語でフットエントラップメントと呼ばれる現象だ。
押し流されている最中にこれにはまったら、上半身も水没して、最悪、溺死に繋がりかねない。
という訳で、ホワイトウォーターレスキュー(急流などでの救助技術)などでは、安全に渡河出来る基準を、水深がひざ下までと規定している。
また、ひざ下程度の水深でも流れが強く、サポート無しで渡ることが難しい状況もありえる。
そんな時に使う方法の一つが、3人で肩を組んで渡るテクニック。
丁度、高校野球の円陣を組むような姿勢を取って、みんなで支え合いながら渡る方法だ。
これだと三人の足、合計六本があるので、1人がよろけたりしても、他の人間がサポートできる為、安定性が高く安全に渡河しやすくなる。
そして、そんな時も安全確保として、救助ロープを持ったメンバーが待機するのが上策。
スローロープと言われる、収納バッグに入った専用の道具が売られている。
これを渡河地点より下流の岸で、何時でも投げられるように準備。
万が一の際にも、このロープを投げることで、流されている人に救助の手を差しのべられる。
注:スローロープを上手に投げる為にはちょっと練習が必要。
持っているだけで安心せずに、幾度かその場で試してみること。
また、河原でのテント泊では、増水の危険性を十分、考えた上で場所選びをおこなうこと。
これまでも無数に事故例があるように、川の上流で急な豪雨が発生したりすると、いきなり河が増水することがある。
特にこれからの季節のような、雷雨が頻繁に発生する季節には、シャレにならないので厳重注意が必要だ。
しかし、先ほども書いたように、河原が野営地として選ばれやすい事情もあり、特にキャンプ場でなはい川沿いで野営をする場合、確認したいのが、岸辺の汚れ具合だ。
河がカーブしているアウト側などを良く見てもらうとわかるのだが、水辺から大分離れた岸辺の草むらや、樹木の枝などにゴミが引っ掛かっているのが見られることがある。
もしくは、草や木の枝が同じ方向になぎ倒されていたりする光景がある場所。
それらは、過去に増水した際に水かさがそこまで上がったことを示すサイン。
決して、風などで飛ばされて引っかかっている訳ではないのである。
ということは、今後の増水の際にそのラインまで再び、水が増える危険性があることも意味する。
そんな場所にテントを張ればどうなるか、深夜、眠っている間に上流でゲリラ豪雨が起きていたら、どんな結末になるか、、、
穏やかに見える川沿いでのアウトドアも、場所や川の状態によっては危ないという事実。
常に用心する心を忘れないこと。それを忘れずに、この夏も楽しく過ごして欲しい。
■併せて読みたい関連記事■
危ないキャンプ地の見分け方
この記事へのトラックバックはありません。