大人向けキャンプ・焚き火・アウトドア体験創造集団「週末冒険会」
コラム

ブッシュクラフトは使えない?!

ブッシュクラフト、サバイバル、あるいはソロキャンプ、、、
ここ10年ほどの間に、こうしたより野性的でマニアックなキャンプスタイルが一部で注目を集めるようになった。

僅かな装備だけを持って一人、野山に分け入り、キャンプをしない一般人から見れば、ずいぶんと過酷な環境で敢えて過ごす。

頑強なナイフを腰にぶら下げ、火花を飛ばすファイアースタータを使って火おこしをしたり、布一枚のシェルターで一夜を明かす。

その姿は、80年代に映画”ランボー”がヒットし、サバイバルが一時、ブームとなった時の様子を思い出させる。
当時はMONOマガジンの出版元が、サバイバルマガジンという本を出していたりもした)

 

そのブッシュクラフトにしてもサバイバルにしても、敢えて文明の利器を使わず、原始的な方法や道具で野外生活をこなしていくことに喜びを覚える、その理由とは何だろうか?

ワイルドでかっこいい、本能的に楽しそう、出来ないことが出来るようになる喜び、、理由は沢山考えられる。

けれど、それらが本当に野外に出た時に役に立つか?というと、必ずしもイコールではないのである。
それは何故かといえば、日本のキャンプスタイルに使える部分と、そうでないものが入り混じっているからだ。

 

その理由は、現実の社会人の休日を考えると、1泊や2泊程度しかしない(出来ない)人間が、ネットに転がるブッシュクラフトの技術をそのまま実践しようとすると、とても時間が足りないのである。

例えば、土日の1泊でブッシュクラフトキャンプに出掛けたとする。
通常のキャンプ場では人も多いし、野性味にも欠けて面白くないので、それっぽいことが出来そうな場所を求めて、そこそこの山奥にたどりつけたのは昼もだいぶ過ぎた時刻。

よし!いよいよやるぞ~!!と気分が盛り上がったのは良いのだが、どうも雲行きが怪しい、、

頑張って薪を集め、YOUTUBEで勉強したフェザースティック(火を熾すための着火剤となる、木の枝を細かく削ってカールさせたもの)を一生懸命作り、ファイアースタータで火を熾そうとチャレンジする、、、
しかし、低い気温と雨の気配を感じさせる空気が含む湿気で、なかなか火が着かないまま、太陽が沈んでしまった、、、

あるいは、木の枝と草で作るシェルターにチャレンジしようと思ってやってきたが、実際に作り出してみると、大量の草や木の枝が必要なことが判ったのだけれど、自生している樹を切るのは違法だし、そもそもシェルターを仕上げるのに必要な量を集めることなんて、とても時間的に無理、、といった事が起こるのである。

 

限られた装備と自分の技術で、自由に野営を行う。
その為の知恵とスキルと思考力を養うには、、
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ブッシュクラフトとは元来、現地で生きていくためのスタイルと、それを実現する技術や道具を指す。
(ブッシュクラフトについて:受け継がれる野外の知恵”ブッシュクラフト

未開の場所で長期間の野外生活を行うのに当たって、手間や時間はかかってもよいから、その代わりに便利で快適な道具や設備を作りたい、というのであれば、ブッシュクラフトは適している。

また、ブッシュクラフトの道具や技術が面白くて、それらを使ってみたい、身に着けてみたいという、単純にホビーとしての興味という点では、良く理解できる。

 

しかし、私たちが普段行う1泊や2泊程度の短いキャンプでは、ブッシュクラフトの技術は手間暇がかかりすぎるということだ。

そしてもう一つ、現地にある自然の素材を利用して野外生活に役立つ道具を作ろうとしても、自己所有の土地以外では、樹木の伐採や直火の禁止など制限事項が多く、また狩猟や植物採集といった行動も、同じように現実的ではないのである。

すると、上記で書いたように、本来のブッシュクラフトに挑戦できる内容は限られ、結局、毎度フェザースティックで火起こしをして、シェルターで寝ることくらいしか、やることがなくなってくる。

こうなってくると、初めての技術へのチャレンジや、それが出来た時の喜びもやがて薄れ、毎回同じことに手間を取られるのが億劫になり始める。

そして、気持ちは段々と、面倒くさいな、荷物が重いな、、という方向に向かっていくことをお約束する。

そういった点も含め、24時間もその場に滞在せず、使える自然の資源も限られている今の日本のキャンプ環境は、そもそも本来の意味でのブッシュクラフトのテクニックが活きる土壌とはかけ離れているのだ。

 

だったら逆に、どういう技術や知識が、現実的には日本の野営に適するのか?

特に、野外でのアクティビティ(釣りや狩猟、自転車やカヌーでの旅など)が主な目的で、それに付随して行うキャンプや、スケジュールがタイトな中で、せめて少しでもキャンプを楽しもうとするならば、どんなスタイルが必要か?

 

その答えは、”速さ””正確さ””柔軟さ”にある。

”速さ”とは、ざっくり言うと、いかに手早く設営出来るかということだ。

野営地に到着して30分で一夜のねぐらを作り、薪を集めて火を熾すことが出来れば、その後は何とでもなる。

火に当たりながらのんびり食事の準備をすることもできるだろうし、雨や風が強ければ、テントの中でぬくぬくと持ってきた小説を読むのも良いだろう。

これが、短い週末の貴重なキャンプ時間を、設営と撤収に終始することなく、優雅な時間を過ごすために必要な、”速さ”という要素だ。

 

”正確さ”、確実な作業は無駄を省き、結局それは速さに繋がる。

正しい場所を選んで設営すれば、夜中にテントが飛ばされることもなくしっかり眠れる。

雨の中でも一発で焚き火を熾すことが出来れば、ずぶ濡れになる前に暖を取ることが出来、そこまでの間の苦労を笑い話にしながらの楽しいひと時も過ごせるだろう。

地図とコンパスを間違いなく使うことで、帰りのバス時刻に遅れることなく、予定通り日曜の夜に自宅へと戻れることになる。

時間、体力、資源を有効活用しようとすると、この正確さがとても重要になる。

 

”柔軟さ”これは何もないシチュエーションでは、とても大事な要素だ。
手持ちの道具も含めた少ない資源を様々に活用するには、決まりきった使い方しか思い浮かばない脳みそでは役に立たない。

空き缶は加工してコップや薬缶にしてみたり、平らな石は火に掛けてグリルパンとして使う。
他の誰かが残した焚き火跡に焼け残った炭や燃えさしがあるなら、燃料として十分役に立つ。

また逆に、わざわざタープを張らずとも、樹の枝が生い茂る下に食卓をセットすれば、多少の雨風や日光を凌ぐのに問題はない。

目的を達成できる簡単で早い方法が、ちょっと目先を変えればいくらでも転がっている。
ラテラルシンキング(水平思考)と呼ばれる頭の柔らかさ、これがポイントだ。

 

こうした”速さ”、”正確さ”、”柔軟さ”を備えた野営が出来る仲間が増えて欲しいと考えて、10年ほど前に”Wilderness Camp Lab”(旧スマートキャンプラボ)というプログラムを立ち上げた。

今ではその卒業生も100名を超え、多くのメンバーが自由さと柔軟な思考、そしてどこでも寝泊まりできる能力を獲得して、私と一緒にあちこちで野営の旅を共にしてくれている。

無駄がなく 、手際良く、洗練されて賢い。日本の現実に即した、本当に使えるキャンプの流儀。

何時でも、どこでも、質素だけれども楽しく、充実した野外生活が出来ること。

思った時に何時でも、好きな場所へ野営旅に出ることの出来る自分。それは、とても世界を拡げてくれる。

その為に身に着けた技や知恵は、壊れない、落としたり無くしたり、忘れてきたり、使い切ることもない。
むしろ使うほどにブラッシュアップされていく。

何もなくても、どこででも、何とかなるし、何とか出来る。
そうなった自分が本当に得るもの、それは、不安に悩まされない心と平穏と、自由だ。

 

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