大人向けキャンプ・焚き火・アウトドア体験創造集団「週末冒険会」
コラム

日常持ち歩く防災アイテムは?

EDC(Every Day Carry)という単語をご存じだろうか?

これは、日常に携行する持ち物を指す言葉だ。

特に災害対策やアウトドアの分野では、いざという時に備えてのサバイバルアイテムを意味している。

要は防災・避難グッズよりももっと軽量コンパクトで、普段の持ち歩きに便利なサバイバルキットということだ。

このEDCの特性、それはどこにでも持ち歩くという点にある。

 

自宅や職場などのある程度決まった場所で、毎日を過ごせるライフスタイルの方であれば、その場所に本格的な防災用品を準備しておくことが可能だ。

けれど、仕事などで日々、様々な所に出かける方も少なくはない。

また誰だって遊びや買い物、旅行など、アウェイな場所に出かけることも多い。

そんな時、万が一出先で大きな災害やトラブルに出会っても、最悪の状況にだけはならないよう備えるためのグッズがこのEDCだ。

 

しかし、小型軽量である分、当然ながら本格的な防災避難セットよりもその充実度には劣る。

何せ、日々自分の鞄の中に入れて持ち歩くのに、あまり重くて嵩張るものは実用的で無いからだ。

もし、色々なシチュエーションに備えようとすると、その中身はどんどん膨れ上がってしまうだろう。

すると、結果として自宅の防災リュックと大して変わらない大きさや重さになり、そんなもの毎日背負って歩けるか!となってしまう。

だとすれば、EDCの中身を現実的なラインで、どんなものをどのくらいまでにするのか?を考えなければならない。

その為に必要な考え方の手順が、リスク評価というものだ。

遭遇する可能性のあるリスクを数多く書き出して、その確率と影響の深刻度で並べ替える。

すると、一番重大で、しかも可能性の高い問題が炙り出されるので、それに対抗するためのグッズをEDCに揃えよう、、という手順になる。

また、自身の生活スタイルや活動エリアなども大きな要因となる為、それらも十分考慮する必要がある。

なので、上記のリスク評価にはそういった点も加味する必要がある(このリスク評価の方法についてはまた別の機会に)

 

ということで、今回は参考例として、私(伊澤)を例にとり、どんなものをEDCとして揃えているかをお伝えしたい。

 

【想定・前提条件】

・東京など都市部、徒歩での外出、災害対応
・24時間程度(一夜)を過ごす為。
・自宅などのより本格的な装備が得られる場所、または救援が得られる避難所などまで辿り着くための装備

1)ホイッスル
エレベーターや地下などでの閉じ込め時に効果的。カプセル式で中に氏名、連絡先、血液型や持病などを記入したメモ入り。

2)モバイルバッテリー(単三仕様)
スマホでの救援連絡、また地図アプリにエリアの地図を事前ダウンロードしておくことで、災害でネット接続ができなくとも使用可能とする為。
参考:GoogleMapでDLしたエリアをオフラインで見る

単三方式なのは、USB充電方式だと数日で電力が無くなるが、乾電池であれば端子に紙片を挟んでおくなどしてそれを防げる。

3)小型ライト
夜間の活動を可能にするため必須。
電源共有を可能にするため、モバイルバッテリーと同じ規格の電池式が望ましい。

4)100円ライター、固形燃料
迅速確実に熱源を得るのに必須。燃料が得られれば焚き火で暖と灯りを確保し、固形燃料だけでも暖かい飲み物くらいは摂取可能となる。

5)保温ブランケット(ポンチョタイプ)
生命維持の重大要件である低体温の防止用。またポンチョタイプであれば、雨天の際にも雨具代わりに使えて、移動の際にも便利。

6)ロープ(直径4mm、5m程度)
ビニールシートなどで幕を張ったり、資材を纏めて運んだりと何かと有用。被災地で見つけた材料でサバイバル用品を作り出す際に大変重要なアイテム。

7)簡単な救急用品
絆創膏、痛み止め、傷薬、消毒薬など。病気ではなく怪我に対するものが中心なのと、傷口からの感染症対策を重視している。

8)行動食(氷砂糖、M&M)
エネルギーになり易く、また小さくてもカロリーの得やすいもの。夏場の高温でも溶けにくい。

★上記を収納可能な金属製ケース(湯を沸かす鍋代わりに使用可能)

★飲料水(500ml)

前提条件では、私が普段住んでいる自宅エリア(八ヶ岳)から遠く離れた場所で被災する想定になっている。

具体的には東京などの大都市圏で、月に何度か訪れていて滞在時間が多い場所になる。

 

また、車ではなく徒歩という条件なのは、マイカーには別途、車載用のサバイバルグッズを搭載しているからだ。

そして、24時間程度を何とか過ごすレベルの中身に留めてある理由は以下の通り。

1,1日以上を過ごせるEDCにすると重量・容積がオーバーし過ぎる為
2,救援が受けられる場所までたどり着くことを主眼としている為

はっきり言えば、この程度のサバイバルグッズだけで、何日も支援無しで生き延びるというのはほぼ不可能だという事だ。

だとすれば、最低ギリギリのラインで命を繋ぎつつも、一刻も早く助けを得られる場所まで脱出するのが最善の策という事になる。

その為、私のEDCでは、被災したその場で耐え凌ぐのではなく、行動(移動)することとその為に体力を維持する目的が主な内容になっている。

尚、キットの中に刃物類が入っていないのは、法律に触れる可能性がある為だ。

正当な理由なく刃物類を携行することは(刃の大きさに係わらず)銃刀法または軽犯罪法に触れる可能性がある。
(詳しくはこちらのコラムも参照:キャンプへの刃物の携帯と銃刀法

 

最後に、よくありがちなのが、EDCを整えたしこれで安心、、と、中身を入れっぱなしにしておくのはNG。

バッテリーの消耗の確認や食品の消費期限など、定期的なチェックは必ず行うようにすることだ。

 

どんな対策にも完璧は存在しない。けれどその可能性を少しずつでも上げていくこと。

この程度の備えなら、手間暇やコストを考えてもやる価値はあると思っている。

 

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