大人向けキャンプ・焚き火・アウトドア体験創造集団「週末冒険会」
コラム

究極の冬キャンプ焚き火-シベリアンログファイアー

新しい知識や技術を学ぶのは楽しい。

出来なかったこと、出来るとも思っていなかったことが出来るようになるというのは、自分自身の成長や達成感が感じられて、これはいくつになっても嬉しく、楽しいものだ。
と、こんなことを書くのはつい先日、久しぶりにこれはいい!と思える学びがあったからだ。

 

私がこだわっている直火の焚き火は、野外での生活に直結している。

これまで何度もこのコラムでも書いてきたが、私が行うキャンプ生活での焚き火とは、火を眺めて楽しんだり癒されたりという目的だけでなく、料理をする、灯りとして使う、暖を取るという野外の一番重要なインフラという位置づけにある。

年中あちこちの野外で寝泊まりしているが、その中でも、寒い時期や今住んでいる八ヶ岳の標高が1100mを超えるような寒冷地では、いかに焚き火を暖房として上手に使うかということが、とても大切になってくる。

外気温とほぼ変わらないテントの中で眠るよりも、一晩中燃えてる焚き火の脇で眠る方がよほど暖かく、寝袋やテントなどの装備もより軽量化できるからだ。

これまでもオールナイトファイアーと呼ばれる焚き火の方法は幾つか知っていたが、どれもベターではあるものの、時には暖かさが不十分ったり直ぐに火が弱ったり、また朝には消えてしまっていたりと、まだまだ改良の余地があるものだった。

だが、今回新しく学んだ方法はより効果的で、現時点でベストに最も近いテクニックであり、少なくともまだ日本ではほぼ知られていないやり方なので、皆さんとシェア出来ればと思い、今回このコラムで紹介させて頂くことにした。


限られた装備と自分の技術で、自由に野営を行う。
その為の知恵とスキルと思考力を養うには、、
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シベリアンログファイアー

では、その真冬に最も効果を発揮する焚き火の方法はというと、その名を“シベリアンログファイアー”という。

言葉で説明するよりも写真を見て頂くのが最もわかりやすいが、丸太を扇上に広げて、その要の部分を寝かせた枕の丸太に乗せるという組み方の焚き火だ。

このシベリアンログファイアーの特徴、メリットとしては以下のようなものが挙げられる。

1,赤外線の放出面が広く、またその放射方向が自分を向いているので、高出力で高効率

2,長時間、手を入れずとも燃焼が持続する

3,火力調節が比較的簡単(扇状に並べた丸太の空間調節でコントロール可能)

 

1,は暖かさを感じられる燃焼面(丸太が燃えて赤く燠になっている部分)が、横に長くかつ、上下段で壁のように構成されるので、熱(赤外線)が効果的に自分に向けられるという話だ。

また2,は燃焼している丸太の庇や枕の部分が接触していることで温度が下がりにくく、自動的に燃え続ける為に必要な燃焼温度を維持できる仕組みだ。

実験では枕木に直径25センチ、上に直径10~15センチの丸太4本で3時間以上、全く放置していても燃えていた。


3,は庇部分の適度な隙間に炎が入り込みやすく、空気に触れることの出来る面が多いので、よく燃えることに繋がっており、逆に扇に拡がっている為に丸太が延焼しようとしてもその間隔が空いているので熱が逃げる為、大きく燃え広がりすぎることが無い。

これは、同じような目的で組まれる2段、3段積みのオールナイトファイアーに比べて、燃焼のコントロールが簡単だ。

そして、長く燃えてくれるとは言え、やがてはだんだんと丸太も短く燃え尽きていくのだが、その場合は単に燃えてしまった庇の分だけ、丸太を押し出してやれば良いので、特に夜中などに手早く燃料を補充して火の形を整えたい場合には重宝する。

では実際にどうやるのかというと、まず一番太い丸太を枕として、自分の座る位置の正面に寝かせる。

次に、その上に丸太の端を庇上に突き出して(私の感覚では20cm位)頭を突き合わせるようにくっつけてやる。

こうすることで自然と、反対側は扇状に拡がる筈だ。

その上で、この扇の要の部分、枕の丸太から庇のように突き出したその下でまず火を起こし、枕と庇に引火させるだけだ。

火起こしの際の組み方は基本のティピー型や、枕に焚き付けをもたれ掛けさせた差しかけ型が簡単だろう。

尚、風がある場合は、真横から風を受ける角度に設置すると、煙くなく燃え具合も良いようだ。


もし、火が弱くて寒いと感じる場合には、枕の丸太の手前側にも1本、平行に丸太を寝かせてやることで、2本の丸太の間でも燃焼が起こり火力がアップする。

ポイントは枕の丸太をより太く、手前側の丸太をそれよりは細い丸太にして段差を付けてやること。

そうしないと、暖かさの基である赤外線が手前側の丸太に遮られてしまうので気を付けたい。

これは丸太の太さや木の種類、乾燥度合いに関係していると思われ、条件の良い丸太を使うことが出来れば、オリジナルのシベリアンログフアイアーの形でもしっかり暖まれる位の熱を得ることが出来るのかもしれない。この辺は今後の課題である。

 

最後に、デメリットとしては、ある程度の太さの丸太を5~6本も必要とすること、またそれらを適当な長さに切る作業が大変なことだろう。
こうした丸太を豊富に得られる環境としては、通常のキャンプ場ではなく、渓流や海辺の流木が現実的かもしれない。

最も寒いこの季節、好きな飲み物でも片手にじっくりと火と向き合うのに、こうしたオールナイトファイアーはうってつけだ。

もしあなたがこのシベリアンログファイアーを試してみて、より良い改良方法を見つけていたら是非教えて欲しい。その際にはまた皆さんにシェアさせて貰えればと思う。

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