野外で活動するための三補足

人が生きていくのに必要な要素として、よく言われるのは“衣・食・住”の3つだ。

これらは身体を保護し、体力を維持・回復するのに最低限必要な、言い換えれば生命維持に欠かせないファクターということになる。そして、キャンプのような野外環境で過ごす場合にもそれは変わらない。

けれど、只そこに存在して生物学的に生命が保たれているだけでは、人が生きているとは言えない。

いろいろな場所に出かけたり、(生命維持に必要な作業を含む)仕事をしたり、時には何らかの楽しみを味わったりするのが、人間の生活というものだと思う。

ということになれば、その為の活動に伴う行為やリスクというものも発生してくる。

特にアウトドア環境、そして単独で活動する場面では、通常の都市生活のように人生の営みを便利で快適にサポートしてくれるインフラもなければ、困った時にすぐ助けてくれる人もモノも無い。

つまりは自分で考え、準備して、それでも何かトラブルがあった時にどうセルフレスキューするか?を、普段の社会生活よりもより強く意識して整えることが必要だ。

通常の管理されたキャンプ場でテントを張り、BBQをして1,2泊で帰ってくるというのなら、衣食住のポイントさえ押さえていれば殆どは事足りる。

しかし、自然の中へ入りこみ(特にソロで)その中で旅を続けるとなれば、他にも考慮すべき項目が出てくる。それが、先ほどの三要素に続く三補足だ。

1,移動
2,通信
3,安全・衛生

1,移動

移動とは、安全確実にどこかへ行き、帰ってくるための知識や技術、道具だ。山を歩くのであれば、地図を読むスキルなどがそれに当たるし、自転車で長距離を走るならばパンク修理の技術と道具も必要になるかもしれない。

これがカヤックで川を下ったり、船で海を渡るとなれば、船を操る技術だけでなく、流れを読んだり天候を見極める知識も必須になってくる。

また、山歩き用の靴や重い荷物を運搬可能な背負い心地の良いザック、車やバイクであれば燃料やオイル類といった装備、資材も考えなければならない。

2,通信

なぜこのスキルや装備が必要か?というと、一言でいえば“ピンチの時に助けを求めたいから“に尽きる。その時の命綱が、通信ということだ。

一昔前は、本格登山を趣味とする方であればアマチュア無線の免許を持っている方も多く、登山時には無線機を携行したりしていたが、今どきは殆ど誰もがスマホを持っていて、少々の山奥でも電波が繋がったり、高い山へ登るとかなりの距離でも通信可能だったりもする。

しかし、スマホを含む機械は壊れることもあるし、バッテリーがなくなることもある。無論、圏外というシチュエーションも珍しくはない。

そうした場合に備えて無線機を持参するのは王道の手段だし、予め携帯電話の届くエリアを調べておいて、実際に歩く道すがら、定期的に電波の入り具合をチェックしておけば、イザという時にはどこまで戻れば助けを呼べるかを把握しておける

また、街にいる友人や家族への定期連絡をスケジュールしておき、もし連絡が途絶えた場合には、緊急事態の可能性ありとしてバックアップや捜索要請を出してもらうよう、事前に計画しておくのも有効な手段だろう。

ハード面で言えば緊急信号として煙幕、ホイッスルやホーン、ミラーなどを荷物に入れておくのも一手段になる。

 

3,安全・衛生

最後の安全と衛生は、リスクをいかに事前に回避するか、またそれでも避けきれずにダメージを受けたらどう対処するか?という危機管理の話だ。

これを考える際にはロジックがあり、予測⇒準備⇒回避という手順を踏むことになる。

安全で言えば、例えば野外だと危険な生物は何が予想されるか?(例:熊、スズメバチ)を予測し、それを避けるには?(例:熊の出没状況を調べる、熊鈴やスプレーを装備して、その使い方を練習しておく。食料やごみの匂いを出さないようにする)というハードやソフトを学んだり準備する。

そして、それでも遭遇してしまったら?(食料の入ったザックをおいてそっと逃げる、最悪、戦う等)の回避オプションを自分の中に持っておくことだ。

無論、他にも安全を考える上では、行動ルート上やキャンプ地に危険な箇所はないか?天候は??など、行先や行程、期間などにより考えるべき項目は多くなる。

衛生については、考えられる病気やケガを想定し、まずはそうならないよう、普段から清潔・健康に身を保っておく予防と、それでも体調を崩したらその場でできる限りの救命処置を行い、場合によっては一刻も早く医療機関の援助を受けられる段取りを考えることになる。

具体的に言えば、食中毒を防ぐためにきちんと手を洗ったり、食物は加熱するなどもそうだし、傷の化膿を防ぐため(野外では感染症は重大リスクの一つ)小さな傷も疎かにせずきちんと手当てする、またアルコール除菌剤を備えておいたり、場合によっては体力維持の為にしっかりした睡眠を確保できるよう、蚊などの多い場所ならば蚊帳や虫よけを準備することも、この衛生の範疇に入るだろう。

尚、野外でけがや病気を負った場合には、非常に軽症な場合を除き、行うべきことは症状を悪化させないようにして、出来るだけ早く病院に行くことがセオリーとなる(ファーストエイドは治療ではなく、医療機関に行くまでの繋ぎでしかないことに注意)

これについては、野外専門の救急処置法を教えている組織があるので、受講しておくことを強くお勧めする。
(野外救命救急法については、こちらもご覧ください:野外での怪我は都会と大違い

 

野山で自由に過ごすというと、開放的でポジティブなイメージが多いが、その裏には自己責任という厳しい現実がある。

楽しく、そして何事もなく還ってくるためにアウトドアマンとして考える必要があるのが今回ご紹介した内容なので、次のアウトドア行の計画の際には、参考にしてもらえたら嬉しい。

 

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