キャンプ時に多くの時間を過ごすメインエリア、住宅で言えば、みんなが集うリビングの役目を果たすのがタープだ。
しかし、晴れた日には充分、太陽の直射日光を遮ってくれる大きさを持つ大型タープも、雨の日になるとやや手狭、場合によっては皆で肩を寄せ会うようにして食事をしなければならない事もある。
何故ならば、大抵の場合、雨が垂直に降ってくる事などほとんどあり得ない。
タープの張り方や高さにもよるが、通常、数十センチ程度は内側に吹き込んでくるので、どうしてもその下で濡れずに過ごせる有効面積が小さくなってしまう。
また、地面に当たった雨粒による水跳ねや泥はねも起きるので、体に雨が直接当たらずとも、気付くとズボンの裾や靴がびしょ濡れ、、といった状態になっていることもしばしばだ。
限られた狭い空間でも、濡れずに広く快適に過ごす。その為の方法を今回はご紹介したい。
限られた装備と自分の技術で、自由に野営を行う。
その為の知恵とスキルと思考力を養うには、、
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1、片流れで庇を作る
タープの形として主流なヘキサタープは、通常の三角張りだと、どうしても地面に近い裾部分の内側は、高さが無い為にデッドスペースとなりやすい。
その部分に荷物を置いたりすることは出来るが、タープ全体としては、人間が居住できる空間が見た目の大きさにしては少ないのである。
ここに更に雨が吹き込んでしまうと、ファミリーや大人数が濡れることなくのんびり過ごすというのは、相当大型のタープでない限り難しくなってしまう。なので、少しでも広く使うには、張り方をアレンジしてやるのが有効だ。
最も一般的な張り方として、片方の裾を跳ねあげ、庇状に張る形がある。こうすることで水平方向の距離が稼げると共に、三角張りの欠点だったデッドスペースが解消されるので、使用可能な面積が体感的には1.3倍程度に拡がる気がする。
跳ねあげた庇部分の固定の方法については、張り綱を立木に結びつけるか、その辺から適当な長さの木でも拾ってきてポール代わりにして、地面にペグダウンすればオッケーだ。もし、余分な支柱が余っているなら、それを使えば良い。
2、ペグはダブル、または樹で自作
雨水で地面が柔らか過ぎて、ペグの効きが悪い場合には、ダブルペグや木の枝をナイフで加工した自作ペグを利用すると、強度がグッと増す。
特に樹を削って作ったペグは、枝の太さが大きくなるほど抵抗力が増すし、撤収の際にも回収する必要が無く、蹴り折って(他の誰かがつまずいたりしないように)おくだけで済む。
ドロドロのペグでタープや手が汚れることも無いのも利点だ。
3、雨水を逃がすルートを確保する
この張り方のポイントは、風上に当たる側のタープを下げることと、庇の左右の高さを変えてやることにある。
風上側のタープを下げて、風が雨と共に吹き込むのをブロックし、また体に当たらないようにすることで寒さも防げる。逆にもし無風であったり、暑くて風が欲しいのであれば両面とも跳ねあげてしまい、有効面積を更に拡げることも可能だ。
庇の左右を同じ高さにしないのは、こうすることで庇に傾斜が生まれ、雨水が貯まることを防げるからである。この手間をかけないと、庇部分にあっという間に水が溜まってしまって手間が掛かるので、支柱の高さをセッティングする際には忘れないことだ。
加えて、ロープによる水の逃げ道を作ってやることで完璧になるだろう。
多くのタープには追加でロープを接続する為のハトメやタブが設けられているので、そこに適当な紐を結びつけて、地面にペグ留めすれば良い。もし、こうしたハトメ等がなかったら、角の丸く取れた小石をタープでくるみ、その上からロープを巻き付けてやる。
4、雨水の利用
余談にはなるが、このロープを伝ってくる雨水を利用するもの賢い手だ。
食後に食器や鍋を雨水が滴り落ちる下に置いて受け止めてやれば、汚れを浮かしてくれるし、ちょっとの手洗いなどにも使える。
雨降りの中、わざわざ水道のある場所まで往復して、濡れる必要もなくなるということである。
気を付けたいのは、タープへの出入りの主導線となるような場所にロープを取り付けてしまうと邪魔なことこの上なく、足を引っ掻けたりすることになるし、その部分は屋根の高さが低くなってこれまた出入りにうっとおしくなるので、キャンプサイト全体のレイアウトと、風向きとの兼ね合いをよく考えてから建て始めよう。
なお、これらに必要なロープワークは、下記のリンクを参照して欲しい。
ふた結び(ツーハーフヒッチ)
自在結び( トートラインヒッチ)
5、濡れてもいい物は思い切ってタープ外へ
こうした工夫をしたうえで、まだどうしても狭いという場合は、思い切って濡れても構わないものはタープの外へ置いてしまおう。クーラーボックスや使用後の調理器具、ゴミ箱などはその筆頭だ。
身の施し方を身に付けることで、雨の日でも気分をダウンさせずに、楽しいキャンプを過ごすことが出来るようになる。そのコツは発想と応用力だ。
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