大人向けキャンプ・焚き火・アウトドア体験創造集団「週末冒険会」
コラム

真夏の災害時に水はどうする!?(前編)

今年もまた、暑い夏がやってきた。

特に東京や大阪などにお住いの方の中には、その暑さに辟易すると同時に、もし今、大きな災害が来たら、、と不安を覚えている方も少なくないだろう。

けれど、何か対策をしなければ!と思うと同時に、でも実際どうしたら十分な水を確保できるの?という不安と疑問も併せて湧いてくるのではないかと思う。

毎日炎天下が続く中、電気も止まりエアコンも使えず、その上、水も無いとなれば、脱水症状や熱中症の危険は極めて高くなる。

これでは例え、強い揺れによる建物の倒壊やそれに続く同時多発火災などから生き延びたとしても、水が無い事で命を落とす可能性の方が強いかもしれない。

平時のキャンプやアウトドア環境でも水は必須の資源。
では、清潔な水の出る水道も、ミネラルウォーターを販売するコンビニやスーパーも無いフィールドで、どうやって野外生活を送っているのか?

その方法や装備を参考に、特に災害時における都市部での水の確保について、前後編の2回に分けて考えてみたいと思う。

 

基本戦略は4ステップ

災害に見舞われ、なかなか救援が来ないという状況の都市部で命を繋ぐ、それも短期間ではなく中長期となると、実はかなり条件的に厳しいのが現実だ。

その理由は、人口密集地域には利用できる資源、例えばある程度きれいな水が汲める水源や、燃料となる木材を調達できる森といったものが少なく、また存在したとしても、それを求める被災者の数が圧倒的に多いからだ。

その為、特に水については以下のようなステップでの戦略が現実的だと考えている。

1,備蓄 2,節約 3,補充 4,脱出

 

では、以下でその各ステップを詳しく解説してみたい。

1, 備蓄

最初に言い切ってしまうが、何と言っても基本は備蓄、これに尽きると言える。理由は明確で、上で書いたように飲める水を入手できる先が極めて限られるからだ。

なので、出来るだけ多くの飲用水を平時から確保しておくことが、命を左右するだろう。

では、具体的にはどれだけ準備すれば良いの?という話になるのだが、これは、予算とスペースが許す限り、、というのが真実。

巷では一人当たり1日2Lの水を3日~1週間分備えましょうという話をよく耳にする。

だが、これで事足りるのは、そのうち自衛隊やボランティアが助けに来てくれるから、、という、これまでの災害での実績を前提とした上での話だ。

けれど、今、問題となっている首都直下型や南海トラフ地震クラスの大災害では、こんな短期間で、十分な量の水が被災地に運ばれてくるとは到底思えない。

また、運良く届いたとしても、被災者の数が多ければ一人当たりの配給量は当然、少なくなる。

下手をすれば一人当たり1Lのみ、そして次に補給がいつ来るか、全く予想が付かない、、などという事態になるだろう。

ということで、救援がいつ来るのか分からないならば、可能な限り備蓄しておくしかない。

 

となると、水は比較的安価なので予算はさておき、その置き場所をどれだけ確保できるかが肝となる。

仮に1人1日2L分を1か月(30日)分+予備を備蓄するとなると、どれだけの広さが必要か?というのを計算してみるとする。

例として私の自宅にあった2Lペットボトル×6本入りの箱(縦32×横1×高さ31センチ)を、予備のひと箱を含めた6箱(2Lペット36本)で並べて計算してみた。

すると、その3倍の18箱を寝かせて並べた場合、標準的なシングルベッドと同じ大きさになった。
平均的なシングルベッドの寸法は、幅97×長さ195センチ程度

つまり、一家3人の1か月分の水を、シングルベッドの下のスペースやマットレスの下に仕舞っておけることになる。

これはあくまでも理論上の一例ではあるが、都会のマンションなどにお住まいの方は、この備蓄スペースに最も頭を悩ませると思われるので、こうした工夫も大事になってくるだろう。何せ事は命に係わる問題なのだから。

尚、ミネラルウォーターの消費期限だが、メーカーによれば、期限を過ぎてもすぐ飲用不可となる訳ではないそうだ。

この期限は、密封ボトルとは言え僅かだが中の水分が揮発する為、厳密には表示されている内容量を切ってしまう為に、こうした表記がなされているとのこと。

なので、期限を過ぎてもすぐ飲めなくなるわけではないので、ローリングストックをあまり神経質に気にしなくてもOKだと言える。


2,節約

普段、何気なく飲んだり使ったりしている水の量というのは、驚くほど多い。

トイレなら1回で4~5L,手洗いや食器洗浄でも数リットルは消費している筈だ。

しかし被災時にはそんな贅沢な水の使い方をしている余裕はない。

あくまで優先されるのは生命維持の為の水分補給。なので折角備蓄しておいた飲用水をジャージャー使うなどもってのほかだ。

しかし、ある程度の衛生状態を保つことは、長期になるかもしれない避難生活で健康を維持するのに重要だ。

なので、出来るだけ飲用水は節約して、飲み水としての利用を優先し、それ以外の用途(手洗い、食器洗浄、体を拭くなど)は飲み水以外を利用する必要がある。

 

これは例えば雨水や池、川の水などだが、これらはそのまま飲用とするのは危険でも、体に取り入れないのであれば十分、使える。

川や池の水であれば、汲んできた後は暫くおいてゴミを沈殿させてから使えば、精神衛生的にも良いし、布で濾しても同じ効果が得られる。

また、よく考えてみると、飲用以外の水の用途と言えば、何かを洗ってきれいにするというのが殆どだ。

特に被災直後のような環境では、毎日の洗濯や入浴は現実的に不可能なので、そうなると実質、主な生活用水の使い道としては

・食器洗い
・手洗い、
・体の洗浄

がメインとなる筈だ。

とすると、拭き取る事が出来ればよいので、水以外の代替手段としては、

・アルコール除菌剤
・除菌ウエットティッシュ
・キッチンペーパー、ティッシュ
・タオル

というようなものが考えられる。


よくキャンプで用いられる手法が、食べ終わった食器類はまず初めにペーパーであらかた汚れを拭きとって、フィニッシュにきれいな水で流す、、というやり方だ。

あるいはアルコール除菌剤を含んだ紙で拭う、、などの方法もあるので、普段からそうした作業に慣れておくことをお勧めする。

注意点として、特に普段のキャンプでよく見られるのが、ペーパーで食器を拭く際に、ちょっとだけ使ってまだきれいな白い部分が多く残っているのに、すぐ捨ててしまい次のペーパーを取ってしまうことだ。

こうした紙類も貴重な資源なので、そうならないようペーパー類はきちんと折り畳み、各面をキッチリ使い切るようにしよう。

 

次回後編では、入手困難な環境で水をいかにして補充するか、その方法と浄水器についての実情等をお話しさせて頂く予定だ。

 

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