6月後半は1年で最も日が長い頃。
夕方、と呼ぶよりは完全に夜の部類に入る7時過ぎまで薄明るくて、ヘッドランプなどの燈火類がなくても活動することが出来る。
この、日が長いというのは野外において、何かと有利なことが多いのである。
その最大の理由は、言われなくても分かる通り、明るい=物が見えるということ。
どれだけ照明器具が発達し、小型軽量で光量の強いランプが手に入るようになったとしても、太陽には敵わない。
日没後、約30分程度までは自然の光で活動することが出来る。
野外料理をするにも、薪を拾い集めるにも、もちろん山中を移動したりするのも、周囲が万遍なく見えるというのは、非常に便利なのである。
これに対し、特定方向にだけ強い光を放射するヘッドランプなどでは、その光が強ければ強い程、その照射範囲の外側が見えにくくなる。
人の目は、物をよく見ようと自動的に光の量を調節するためで、ライトに照らされている範囲を標準として明かりを絞る結果、周辺の暗い部分は真っ暗に見えてしまう。
少しカメラをいじったことがある方なら、レンズの絞り機能をイメージしてもらえば直ぐに理解できるだろう。
例えば、暗い森の中をライトの灯りだけで歩きまわると、方向感覚を失なったりすることがある。
これは、特定方向の一部分しか照らされていない結果、周辺の状況と比較しながら進むことが出来ないためだと思われる。
結果、まっすぐ歩いているつもりでも、徐々に斜めに進んでしまったりする。
人間が五感から得る情報の内、視覚によるものはその80%を占めるそうなのだから、明るく物が見えるというのは、とても重要だ。
新潟県と山形県の県境辺りの日本海沿いに、笹川流れと呼ばれるエリアがある。
岩場の海岸線が連なるその一帯には、小さな砂浜や海水浴場が点在しており、綺麗な海が広がっている。
そしてそこは、誰が公認しているわけでも、禁止しているわけでもない、暗黙のキャンプOK地帯なのだ。
数年前の8月、思い立ってふらりとバイクでこの海岸を訪れた。
夕暮れの海岸にテントを建て、その後は海でひと泳ぎして、汗にまみれた体をクールダウン。
水平線に沈みかけた夕日の残光がまだ辺りを照らしていて薄明るい。
そのうち、焚き火の灯りと陽の光が徐々に入れ替わり、夜がやってきた。
薄紫の水平線と雲を見ながら、食事をし、酒を呑む。
そう、陽が長いことのもう一つの理由は、この優雅な時間を楽しめる事だ。
この短い夏の一時期しか味わえない楽しみ。
ということで、今、キャンプに出かけるならば、夕日の楽しめるロケーションをお薦めする。
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