何処の世界でもそうなのかもしれないが、最近は女性のパワーが凄いなぁ、、と思わせられることが多い。
アウトドアの世界も例に漏れず、山ガールなどという言葉が流行りだしてもう数年になる。
昔は登山と言えば、山男か、そうでもなければ中高年の趣味というイメージが一般的だったのだが、現在は20~30代の女性で山登りやトレッキングにハマる人がとても多い。
そして、その様子は以前とは大分、違っている。
カラフルなウェアに身を包み、雰囲気はあくまで軽く、リラックスしている。
渋谷や表参道へ休日にショッピングへ出かけるようなムードで、自然の中へ出かけていくのだ。
そこには、昔の登山にありがちだった、これから厳しい大自然へ挑むゾ!といった肩肘を張った気負いのようなものはまるで感じられず、あくまでレジャー、キツイことはやらない、楽しいことだけを求めに行く、、といった、女性ならではの登山の方向性のようなものが存在するように感じられる。
そうしたムーブメントの一つとして、山ガール以外にも、”女子キャンプ”というものがある。
それは上に書いた登山と同じように、これまでのキャンプのイメージを覆して、汚い、寒い、辛い、、といった要素を排除した、あくまでお洒落でリラックスしたスタイルを基本にしている。
キャンプの食べ物といえばカレーかBBQ、風呂に入れず、汗臭い体のまま、狭いテントに折り重なるようにして眠る、、なんて行為は一切なし。
テントやタープ周りは女性らしく、可愛いらしい飾り付けが施され、食事もイタリアンなどをアウトドア風にアレンジしてみた内容だったりと、とにかく明るくて楽しい。
女子キャンプには、根性も努力も体力も求められないのだ。
また、女子キャンプは”自由”だ。
集団行動、時間厳守といったような体育会系のノリは要らない、嫌われる。
もちろん、集合や解散時間は決まっているけれど、キャンプ地に到着して、テント設営などが終わったら後は自由。中には食事も自分の分は自分で作って食べる、といったスタイルを取る女子キャンプもあり、好きな時に食べて、好きな時に寝るという形式を取っているところもある。
自然の中で、1人ひとりが自由気ままに過ごせる時間と空間が女子キャンプなのだ。
こんな感じで流行りつつある女子キャンプだが、実はもう一つ、その派生版といった形もある。
それがどんなものかといえば、全てがセッティングされ、技術も知識も、キャンプ道具さえも要らない”お姫様キャンプ”だ。
先ほど書いた女子キャンプのスタイルは、ある程度キャンプ慣れして、道具もそこそこ揃っている中級者が行っているもの。
けれど、自然の中で過ごしたい、キャンプに興味はあるけど、、という多くの女性は、テントも寝袋も持ってはいない未経験者か初心者だ。
また当然、野外料理や焚火をするテクニックも知識も持ちあわせてはいない。
そんな方のために、スタッフが設営から料理、後片付けまでをリードしてくれて、尚且つ、女性だけで楽しめる空間を確保してくれる、黒子に徹するスタイルが、お姫様キャンプだ。
こんなふうに聞くと、な~にヌルいことを、、アウトドアでは自分のことは自分でやるのが鉄則だろっ!と憤る方もいらっしゃるとは思うのだけれど、それはそれ。
新しくキャンプを始めてみようという女子にとっては、ハードルとなる道具も技術も全てクリアされていて、しかも快適、ラグジュアリーに過ごせるのだから、キャンプをこれから始めてみたいという際の入り口としては、いい経験ではないだろうか?
何かを始める時、最初のイメージがネガティブなものだけで終わってしまい、楽しい思い出が残らないと、その後も続けようという気にはなかなかなりにくい。人生初のキャンプが寒くて暗くて、御飯も美味しくなかった、、では、2度と行きたくないと思うのは当然だろう。
そういう意味では、力仕事や難しい作業、危険な作業は男性に任せて、お料理や焚火いじりだけをまず楽しんでもらうというのは、体験として全然アリだと思うのだ。
そうした経験を積んだ後、自分で色々とキャンプの知識を身に付けていきたいという場合には、テントの建て方などを少しづつ、学んでいくという方向に走るも良し、やっぱりラクなほうが良いわ~というのであれば、多少お金を多めに支払っても、お姫様キャンプを続ければ良いだけの話だ。
上達することが楽しみの要素の一つであるスポーツに比べ、キャンプは上手く出来てもできなくても、その行為自体が楽しいもの。そしてその楽しみ方は、野外料理を作り、味わうことであったり、あるいはアウトドアファッションに凝ってみる、道具に拘ってみるなど、特定の方向に縛られない。また特別な目的を持たずにのんびりと過ごすスタイルや、逆にツーリングのように移動(旅)を楽しみながら行うキャンプもあったりする。競技やゲームのように、勝ち負けやスコアをどれだけ獲得できるかという上昇志向にではなく、誰もが自分の自由な感性で面白さを見つけられて、広げて行くことの出来る水平志向が展開できる部分に、大きな魅力があると思っている。
そして、その自由な発想で野外をこれまで無かった方向で楽しむことに一番反応しているのが、キャンプ女子なのではないだろうか。